道民が愛する「セイコーマート」凄い物流の仕組み、脅威の積載効率8割はなぜ達成できるのか
「雑談ができるコンビニ」という特徴もある。他のコンビニでも人によってはフランクに話してくれる店員もいるが、セイコーマートの場合は、常連が入ってきた瞬間に、「今日はマルマルないよ」とか「何はあるよ」という会話になる。「ここはスナックか」というほどの密着度があるのだ。 ■目指すのは「デイリーユースストア」 実際、同社が目指しているのは「デイリーユースストア」で、現社長がこれをコンセプトに掲げている。毎日必要な商品をリーズナブルな価格で買える店、というわけだ。小売業界に詳しい人は「Everyday Low Price(EDLP)」という言葉を聞いたことがあるだろうが、セイコーマートが掲げているのは、「Everyday Reasonable Price(EDRP)」。その目安として、弁当は500円を超えないように、おにぎりは120円~130円に価格設定している。「200円のおにぎりは作りません」とはっきりと言っている。
北海道内のカバー率は非常に高く、179市町村中、175市町村で展開している(セブンは122市町村)。セイコーマートの場合、北海道の企業だということもあって、さまざまな自治体から「うちに作ってほしい」という要望が多いことも背景にある。 例えば、コンビニが一軒もない自治体から出店要請があったときは、コミュニティバスの待合所を作って、そこのメンテナンスコストを村からもらうことで採算を合わせる、ということをやった。そういうところも「庶民の味方」「地域密着」の典型だろう。
もう1つ特徴的なのは、PB(プライベートブランド)の展開である(同社はPBではなく、リテールブランド=RBと呼んでいる)。同社では1995年に最初のPBとなるバニラのアイスクリームを作っており、これはセブンよりかなり早く(セブンがPBを始めたのは2011年)、現在ではPB商品は1000種類に上る。 酒屋の支援から始まっていることもあって、酒類のPBに強く、ワインは60SKUあり、年間400万本販売。ビールをオランダから直輸入しているほか、サワーは作っている。PBは自社で販売するだけでなく、他社にも販売している。