<チェジュ航空旅客機事故>チェジュ航空、1カ月に418時間で最長運航…「点検時間はバスより短い」
務安(ムアン)チェジュ航空事故から1日で、事故機と同じ機種(ボーイング737-800)のチェジュ航空機がランディングギア(着陸装置)の異常で引き返し、チェジュ航空の整備能力に疑問が提起されている。29日、事故に遭った機体はランディングギアが作動せず、胴体着陸した末に全焼した。 【写真】旅客機墜落事故の収拾作業にあたる消防隊員 30日、韓国空港公社などによると、同日午前6時37分、金浦(キムポ)空港から出発した済州(チェジュ)行きのチェジュ航空7C101便は離陸直後、ランディングギアに異常があるという信号が出た。チェジュ航空は同便に搭乗していた乗客161人にランディングギア問題による機体欠陥を案内した後、金浦空港に引き返した。乗客はその後、午前8時30分に代替機で済州空港に出発した。乗客21人は、不安を理由に搭乗をあきらめた。 ランディングギアは飛行の安全に直結した必須装置だ。安全な離着陸を保障し、非常着陸時には衝撃を緩和する役割を果たす。前日発生した事故では電子機器系統異常でランディングギア3個が全て作動しなかったと推定される。 同日、引き返した航空機はボーイング社のB737-800で、前日の務安空港の事故機種と同じだ。チェジュ航空関係者は「離陸直後にランディングギアに異常があるという信号を受け付けた機長が地上整備統制センターと連絡し、その後正常に作動することを確認したが、機長が乗客の安全のために回航を決めた」と話した。 チェジュ航空は格安航空会社(LCC)の中でも長い運航時間に比べて整備人材が不足していることが指摘されてきた。国土交通部の航空従事者統計によると、2023年基準で大韓航空は航空機1機当たり整備士数17人で国内で最も多く、アシアナ航空が1機当たり16人水準の整備人材を保有し、後に続いた。 しかし、LCCの整備人材は大手航空会社に比べて60%水準にとどまる。韓国国内1位のLCCであるチェジュ航空の場合、航空機1機当たり11人の整備士を保有している。他のLCCであるティーウェイ航空とイースター航空も航空機1機当たり整備士は11人で、似たような水準だ。 整備人材が少ないのに比べ、チェジュ航空の航空機運航時間は他のLCCより長かった。金融監督院の電子公示システムによると、チェジュ航空の今年7-9月期の旅客機1機当たりの月平均運航時間は418時間で、国内主要航空会社6社の中で最も長かった。大手航空会社の大韓航空(355時間)やアシアナ航空(335時間)はもちろん、LCCのジンエア(371時間)、ティーウェイ航空(386時間)、エアプサン(340時間)よりもチェジュ航空の運航時間が長い。務安空港事故の機体も、事故前の48時間の間に13回運航していたことが分かった。チェジュ航空が収益性の極大化のために稼働率を過度に引き上げたという指摘が出ている背景だ。 しかし、チェジュ航空の整備現場では、機体整備時間があまりにもギリギリだという問題提起が絶えなかったという。チェジュ航空整備士出身の元整備士Aさんは「チェジュ航空の場合、航空機の運航回数が多く、整備スケジュールはきつい方なので、整備士が機体をきちんと点検できる時間が足りない」」とし、「実際に航空機1機を点検する時間は30分未満なので、事実上高速バスの点検時間よりも短いだろう」と話した。また「点検に関連したマニュアルがあるが、事実上すべてのことをいちいち点検することは難しい」と話した。チェジュ航空の硬直した組織文化も問題点に挙げた。Aさんは「整備による日程遅延が生じれば、責任を整備士に問う文化があり、安全について整備士が積極的に意見を述べることが難しい方だった」と批判した。