コミックアート界のトップランナー米山舞。「アニメとイラストの中間で生きる」
世界中で人気を集める日本のコミックアート。そのトップランナーのひとりがアニメーターでイラストレーターの米山舞だ。 アニメーター出身の米山は2018年に独立し、アニメで培った表現力を生かしてイラスト、CM、MVなど多方面で活躍する。初音ミクGTプロジェクトやエヴァンゲリオン公式アパレルブランド「RADIOEVA」のイラスト、「KATE 欲コレクション」(カネボウ化粧品)のパッケージおよび映像作品の監督、Netflixアニメ『サイバーパンク:エッジランナーズ』のエンディング映像の監督・作画など、多数のヒット作に携わっている。 また、デジタルイラストレーションの可能性を常に模索し、最新技術を取り入れた作品制作にも精力的に取り組んでいる。自身3度目の個展となった「EYE」(PARCO MUSEUM TOKYO)では、センサーを使用したアニメーション映像作品といったインスタレーション、大型シルクスクリーン、半立体アート、アクリルにUV印刷を施す技術を活用したレイヤー作品を発表した。 自身のキャリアを自ら切り拓いてきた米山は、どんな若手時代を過ごしたのだろうか。「世界を変える30歳未満」を選出するForbes JAPAN 30 UNDER 30のアドバイザリーボードを務める彼女に、U30時代の話を聞いた。 子どものころから絵を描くのが大好きで、マンガやアニメ、イラストなど、とにかく“絵を描く人”になりたいと思っていました。しかし、私が生まれ育った長野県の南信には美術の高校がありませんでした。それで、父が建築家だったこともあってパースや建物の絵を描くことができる建築科のある高校に入りました。 それからも絵を描きたいという欲望はどんどん大きくなり、高校3年間はそれまで以上にアニメを見るようになりました。専用のビデオデッキを手に入れてコマ送りでアニメを見たり、アニメ専門誌を読みふけったり。とにかくアニメ、アニメで。 そのうち制作スタッフにも詳しくなり、「今回の作画監督は○○さんだから顔の作画が上手い」とか、アニメファンが集まるネット掲示板で話していました。もう完全な作画オタクになっていましたね(笑)。「自分もそういう世界に入りたい。だけど今のスキルで入社できるかどうか分からない」と悶々としながらも、とりあえず上京しようと考え、東京のアニメ専門学校に進学しました。