農村誘客に期待 訪日外国人、増える「コト」消費
インバウンド(訪日外国人)の消費傾向は新型コロナ禍後、ショッピングなどの「モノ」から体験型の「コト」へ──。観光庁が18日までにまとめた2023年の訪日外国人消費動向調査からそんな実態が浮かび上がった。自由な往来などコロナ規制の解除を背景に、農や食を取り入れた「特別な体験」などが人気を集めているとみられ、地方や農村部のインバウンド戦略の参考になりそうだ。 【一覧表】観光・レジャーで訪れるインバウンドが多い都道府県トップ10 観光庁の調査データを総合すると、23年の訪日外国人1人当たりの旅行支出の平均は21万2764円で、19年の15万8531円から34%も増加。今年も昨年と同水準か上回る勢いで伸びている。 このうち宿泊費や飲食費、テーマパークの入場料など娯楽サービス費を合計した「コト」消費が、総支出の62%(13万2493円)を占め、19年の56%(8万8459円)から大幅に増加。一方、ショッピングを中心とした「モノ」消費の割合は、19年に34%(5万3331円)だったのが、23年は26%(5万6098円)と大きく減少した。 「コト」消費は欧米からの訪日客に多く、英国など9カ国では1人当たりの支出に占める額が70%を超えた。これに対し、訪日中国人による「爆買い」が流行語になった15年は、中国客1人当たり支出の6割が買い物代だったが、同年をピークに減少。23年は中国を含むアジアの11カ国・地域でも「コト」消費が59%と最多となった。ただ、インバウンドの半数は三大都市圏だけに滞在している。 こうした流れを受け、北海道十勝地方の19市町村は今冬に「農・食・絶景プレミア体験・オーダーメイドツアー」を開催するなど外国人客を誘致するイベントを開く。
日本農業新聞