育休明けから「時短勤務」にしたいと考えています。会社によるでしょうが「フルタイム」の正社員と比べて収入はどのくらい変わるものでしょうか?
育休明けから、すぐにフルタイムで働くのは精神的にも肉体的にも大きな負担です。そのような場合に利用できる制度が「時短勤務制度」です。 しかし、時短勤務をすればその分収入も少なくなってしまうため、制度を利用するか悩んでいる方も多いでしょう。 そこで今回は、時短勤務のルールと、時短勤務をした場合の収入の変化について解説します。 ▼扶養内で働いてるけど、労働時間が「週20時間」を越えてしまった!「社会保険」に加入する必要はある?
時短勤務とは?
時短勤務とは、育児や介護などと仕事を両立させるための制度です。「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(以下、育児・介護休業法)により定められており、時短勤務の内容や条件は育児と介護では異なります。 今回は、育児における時短勤務について確認しましょう。 ■育児のための「短時間勤務制度」 時短勤務は正確には「短時間勤務制度」と言い、育児・介護休業法第23条で定められています。企業側は、労働者の申し出があった場合、原則5時間45分~6時間までの時短勤務ができるよう対応しなければなりません。 ただし、時短勤務を利用するためには1日の所定労働時間がもともと6時間以下でないことや、3歳未満のお子さんを養育し、時短勤務をする期間に育児休業を取っていないことなど、いくつかの条件を満たす必要があります。 なお、女性だけにとどまらず男性でも取得することは可能です。現状で時短勤務を取得できるのか不安な場合は、会社の人事担当者や直属の上司に相談してみましょう。 ■時短勤務をした場合の平均給与 「時短勤務はしたいけれど、収入があまりにも減ってしまうのは困る」とお考えの方もいるでしょう。厚生労働省の令和4年賃金構造基本統計調査から、正社員で働いた場合と時短勤務で働いた場合の収入を比較してみました。 表1は、企業規模10人以上の会社で時短勤務をした場合の平均月収です。 表1
※厚生労働省「令和4賃金構造基本統計調査」を基に筆者作成 同調査によると、企業規模10人以上の会社で働くフルタイム正社員のひと月当たりの所定内給与額の平均は32万8000円であることから、時短勤務の場合はおよそ65%の収入となります。 上記の調査には、育児以外に介護などの理由も含まれていますが、多くの企業では育児のために時短勤務をする場合、通常の給与の75%程度を時短勤務の基本給としているようです。 給与額をシミュレーションしたうえで、時短勤務にするかどうかを決定するとよいでしょう。 ■3歳以降は時短勤務できないのか 法律上は、3歳までの時短勤務が義務付けられています。しかし、それ以降に保育園に通えるかどうかは分からないですし、せめて小学校に上がるまでは子どもと過ごす時間を長く取りたいと考える方もいるでしょう。 中には、3歳以降も時短勤務ができるような社内規定を設けている企業もあります。厚生労働省の令和4年度雇用均等基本調査によると、3歳以降も時短勤務をできるよう制度化している企業は、時短勤務の制度を設けている企業の4割以上にのぼります。 ただし、時短勤務を長く続ければそれだけ収入は減ってしまうことや、キャリアアップを考えた場合に不利になる可能性があるなど、必ずしも時短勤務はプラスなことばかりではありません。