高市氏の「電波停止」発言に対する抗議会見(全文4/完・質疑応答2)
岸井さんはあの意見広告自体をどのように受け止めたのか?
朝日新聞:朝日新聞社と申します。今の点に関連して岸井さんに念のためお尋ねしたいんですけれども、政治的公平に関して昨年、岸井さん個人を名指しで攻撃するような意見広告が出されたということで、今日のテーマは高市さんの電波停止発言、まさに上からの圧力だということだと思うんですけれども、こういうある意味で社会の下からの圧力みたいなものが広がっているような空気に、私自身は危惧を覚えているんですけども、岸井さんはあの意見広告自体をどのように受け止めたのか。さらにキャスター個人が名指しで批判されるような、ああいう大々的意見広告が新聞に載ると。こういう状況を今どうお考えになっているのか、そこをちょっとお聞かせください。 岸井:まず建前ではありませんけども、やっぱり新聞は新聞記事、テレビはテレビの番組、そして番組の中でのコメントで判断してもらうしかないわけですよね。それからあの広告、私も見ましたけど、最初はなんの広告だかさっぱり分かりませんでしたけれどね。単純に言えばもう本当に低俗だし、品性どころか知性のかけらもない、ひどいことをやる時代になったなと思いましたけどね。だけどそれはもう恥ずかしくないんですかね、あんなことやっててね。それは疑いますね。それしか言いようがないですね、あれ。 鳥越:それについては、僕らが認めなきゃいけないのは日本の社会がやはり戦後70年たって、全体に右寄りに保守化してると。これは世論がね、世の中自体が、という現実は認めなきゃいけない。その空気の中で日本会議という右翼的な団体があって、あれが、そこからお金が出て、そして産経と読売に意見広告を出してるということはある程度分かってきていますよね。そういうふうに日本の社会そのものがね、で、そういうものがまかり通ってしまうという社会になっている。そういう中で安倍政権というのができてるわけです。だから安倍政権が先か世論が先かという、どっちが先か分かりませんけれども、日本の社会がたぶん、はっきり言って新聞、テレビの社会は、30年、40年前にはなかったことは何かと言えば、はっきりと右と左に分かれちゃったということ。朝日新聞は従軍慰安婦の問題でちょっと傷付きましたけどね、すいません、だけど一応リベラルにとどまっている。毎日新聞、東京新聞などは、それから多くの地方紙はリベラルな、安倍政権批判もちゃんと社説でやっている。産経、読売、日経はやりません。だから産経、読売、日経を読んでいる人は分からないでしょうね、今の起こっていることは。というふうにメディアの世界がはっきり分裂した状態になっている。そこで今、起きているんですね、そういうことは。 で、さらに政権側からはっきりとメディア、リベラル、中道、左派みたいな、リベラルと言われる新聞に対する攻撃が、朝日新聞も従軍慰安婦の問題もそうだと思うけれども、なんかちょっとでも隙あらば足をすくうという体制になっている。それはさっき私が言ったようにメディアが政権をチェックするんじゃなくて、今の時代は政権がメディアをチェックする時代になっている。そのことを僕らはちゃんと認めなきゃいけない。そこから僕らは戦っていかなきゃいけないと思ってます。これは戦いですよ、はっきり言って。負けられない戦いですね。負けたら戦前のようになります。大本営発表になります。ワイマール憲法のあとのナチス・ドイツのようになります。すいません、もう時間ない。