自信取り戻した香川真司 ベルギーは「必ず崩せる」
香川が調子を完全に取り戻したのは、16日のオランダ戦からも見て取れた。3日後のベルギー戦を睨んでローテーションが採用されたため後半から登場すると、67分にはドリブルでペナルティエリアに切れ込んで左足から鋭いシュートを放ってGKを強襲。78分には絶妙なスルーパスを柿谷曜一朗に通し、これ以上にない決定機を演出した。そのプレーには、躍動感が戻ってきた。 自信を取り戻したであろうことは、試合後のコメントからも伺えた。 「このレベルの相手と言ったらヘンですけど、相手は決してベストな状態じゃなかったし、これくらいプレッシャーのない相手なら、勝たなければいけない試合でした。そういう意味では悔しい気持ちがあります。次のベルギー戦でもこの内容を継続してやって、今度は勝ち切りたいと思います」 試合勘が養われ、プレーに躍動感が戻り、自信がみなぎっていた。あとは、ゴールを奪うだけ。それが完全復活へのラストピースになる。ベルギー戦を翌日に控え、香川は言う。 「自分自身もゴールは欲しいし、オランダ戦でも取れなかったことは自分自身も感じている。そこは狙い続けたい」 実際、香川はゴールという最も分かりやすい形で結果を残し、ドルトムントでの地位を築くと、マンチェスター・Uからのオファーを掴み取っている。日本で最もゴールの価値を知っている男なのだ。 振り返れば、東欧遠征では試合後に「ゴールを奪いたい」という言葉が彼の口から出てこなかった。ゴールを奪う以前の問題に悩まされ、そこまで意識がいかなかったのかもしれない。 今は違う。ドルトムントで輝いていた頃のように、ザックジャパンで「トップ下のポジションでプレーしたい」と主張していた頃のように、「ゴールが欲しい」とはっきりと口にした。 頼れる男が日本代表に帰ってきた。 (文責・飯尾篤史/サッカーライター)