尾野真千子 & 結城貴史監督 インタビュー 長年の友人関係から紡ぎ出された、家族との再構築を描く『DitO』
俳優でありプロデューサーでもある結城貴史氏が初監督作品を務めたフィリピンと日本の合作『DitO』。タイトルである「Dito」とは日本語で「ここ=居場所」を意味し、物語はフィリピンで再起をかけるボクサーの神山英次(結城貴史)と、突如、彼の前に現れたひとり娘の桃子(田辺桃子)が真の自分と向き合い、居場所を見つけていく物語です。本作には、結城監督が以前から信頼を置く田辺桃子さんと尾野真千子さんが家族役で出演。今回は妻を演じた尾野真千子さんと結城貴史監督にお話を伺いました。 ・・・ ――結城貴史監督と尾野真千子さんは、長い友人関係だそうですが、今回の役について具体的に話し合いなどされたのですか。 結城:先日メイキング映像の整理をしていたら、そのシーンの中で役について話し合いをしていたんです。二人の最後のシーンとかも、ずっと「私だったらこの距離かな‥‥」「俺はこうしたいけど」「だったら私はもっと近づきたい」という話をちゃんとしていました。感動しちゃいました。 尾野:誰と誰が? 結城:俺と真千子で。俺もビックリした(驚)。助監督が何か言っているんだけど、俺と話したがっているんだよね。 尾野:結城が監督なんだけど、もうひとり監督補を立てているんだよね。 結城:真千子が「もうひとり監督補を立てろ」って言ったんだからね(笑)。 尾野:今回のお芝居で一番大事なシーンだからこそ監督から話を聞きたいんです。それなのに、助監督や監督補から色々と言われたから、それで結城に「あなたはどうしたい?」となったんです(笑)。 結城:真千子が「ひとりで出来るの?」って言うから‥‥。 ――助監督のような方がいらっしゃったのですね。 結城:一応、助監督もですが記録さんも、信頼できる監督さんが何人か現場に居てくれたんです。 ――撮影はボクシングシーンも含め、楽しかったと仰っていましたが。 結城:全部楽しかった。監督自身が自分を殴らせるんですから、「1分間殴られ続けてくれ」なんて普通は俳優に言えないので、自分自身でなかったら成立しないシーンだと思います。 尾野:そうですね。自分だったら自己責任だから出来るよね。 結城:もちろん安全に注意して行いましたが、自己責任だから無茶も出来る。香盤表(出演する俳優の役名や登場、退場するシーンの一覧が書いてあり、スタッフが持っている物)も自分で作成していたので、タイムラインは理解しているんです。僕自身はいつ休めるかも分かっているのでそんなには疲れない。大変だったのは出演者やスタッフです(笑)。