カリフォルニアワインの新世代!キアラ・モンダヴィが造る“洗練の白”「センティアム ソーヴィニヨン・ブラン」
天才の系譜は続く――。そんな名門の実力を感じさせる白ワインが日本初登場。その美しきワインを携え、造り手のキアラ・モンダヴィが初来日し、“ファミリーの思いが結実した白”の誕生秘話を語ってくれた 【写真】キアラ・モンダヴィが造る洗練の白ワイン
ステラ・マッカートニーやパロマ・ピカソ。鬼才と評される父を持つ、芸術的才能に溢れた娘たち。キアラ・モンダヴィが手がける「センティアム ソーヴィニヨン・ブラン 2022」を口にした時、ふと彼女たちの作品群が思い浮かんだ。 キアラ・モンダヴィは「コンティニアム・エステート」オーナーであるティム・モンダヴィ氏の二女。ティム氏は「オーパス・ワン」の初代醸造責任者であり、ほかにもイタリアの「オルネッライア」、チリの「セーニャ」など、ジョイント・ベンチャーで数々の銘醸ワインを成功させ、“天才醸造家”とも称される人物。“カリフォルニアワインの巨星”、ロバート・モンダヴィ氏は祖父にあたる。物心ついた時からブドウ畑で遊び、長じてからは父のもとで栽培や醸造を学んだ。アーティスティックな才能にも恵まれ、父が手がける赤ワイン「コンティニュアム」のラベルのアートも手がけている。 実は、キアラにはソーヴィニヨン・ブランでワインを造ることへの強い思いがあった。ワインの世界では知られていることだが、モンダヴィ家は2004年に大手ワイン会社に「ロバート・モンダヴィ・ワイナリー」を売却、祖父ロバート氏と父ティム氏はワイナリーを去った。その後、ティム氏は2005年に「コンティニュアム エステート」を設立し、カベルネ・ソーヴィニヨン主体でボルドースタイルの「コンティニュアム」を完成させた。その新しいワインは極めてエレガントな味わいで、瞬く間に世界市場に躍り出た。だが、ティム氏はなかなか白ワインを造ろうとはしなかった。彼のみならず、キアラをはじめとするファミリー全員が、素晴らしいブドウを育む“ト・カロン”の畑への深い思いがあったからだ。あの畑は「ロバート・モンダヴィ・ワイナリー」の所有で、もはや自分たちのものではない。畑での思い出を数多く持つキアラにとっては、悲しみと同時に忸怩たるものがあったに違いない。彼女はこう語る。 「“ト・カロン”の畑は樹齢が高く、70年代後半には、ワイナリーではそれを引き抜く予定でした。でも、若かった頃の父が『この畑からはまだ素晴らしいブドウが生まれる』と、引き抜くのを止めたのです。そして生まれたのが『ト・カロン アイ・ブロック フュメ・ブラン』。この上なく美しい白ワインでした」。 “フュメ・ブラン”とはソーヴィニヨン・ブランのカリフォルニアでの呼び名で、ロバート氏による造語。辛口のソーヴィニヨン・ブランのスモーキーなニュアンスをわかりやすく伝えるために考えたという。「このト・カロン以上の畑が、長年見つからなかったのです。『コンティニュアム・エステート』の白になるのにふさわしいブドウを、私たちはずっと探していました」。 【写真】父のティム氏とともにワインを造るキアラ。初来日で日本の虜に。人々がリスペクトし合う姿に感銘を受けたという。また、自身のワインが日本料理と合うことも大きな発見だった。「木の芽をあしらった鯖寿司や鱧のお椀によく合っていました。日本料理は繊細ですね」