本郷和人『光る君へ』たった12歳で一条天皇に嫁いだ道長の娘「いけにえの姫」彰子。しかし当時の成人式<裳着>の実態は…
大石静さんが脚本を手掛け、『源氏物語』の作者・紫式部(演:吉高由里子さん)の生涯を描くNHK大河ドラマ『光る君へ』(総合、日曜午後8時ほか)。7月21日の第28話「一帝二后」では、入内させた娘の彰子(見上愛さん)を中宮にし、定子(高畑充希さん)と后を二人にする「一帝二后」をもくろむ道長。周囲の力を借りて一条天皇(塩野瑛久さん)の説得にあたるが――といった話が放送されました。一方、歴史研究者で東大史料編纂所教授・本郷和人先生が気になるシーンを解説するのが本連載。今回は「裳着」について。この連載を読めばドラマがさらに楽しくなること間違いなし! 12歳で入内後、出産まで実に10年を要した道長の娘「いけにえの姫」彰子。苦しんだであろう日々が『源氏物語』にも影響を。その生涯とは * * * * * * * ◆12歳で入内した彰子 以前、ドラマの中で「12歳で入内した」と説明のあった道長の娘・彰子。 その彰子を中宮にするという、いわゆる「一帝二后」をなかなか受け入れない一条天皇を巡り、周囲がすったもんだする様子が前話にて描かれました。 しかし、父親のいいなりのまま自分のもとへ嫁いできたその姿に、一条天皇は自らを重ねあわせると、すこしずつ彰子を受け入れるようになっていきます。 そもそも「12歳で嫁ぐ」とは、現在の感覚からすると、異常なくらいに早い気もしますが、当時の女性は、その頃くらいに成人式をしていたのも事実です。 今回はそのことについて記そうと思います。
◆裳着 平安時代の貴族の女性の成人式を裳着(もぎ)といいます。 女性が12歳から15歳になると行われることが多く、初めて裳を着せるもので、着裳とも称します。 裳は十二単を構成する着物の一つで、お姫様の絵の後ろに伸びている、ひだのあるプリーツスカート状のもの。 いかん。語彙が不足して、うまく説明できません。ググって形状を確かめて下さいませ。 裳着は吉日を選んで執り行い、裳の腰紐を結び、髪を一つに束ねて後ろに流します。また初めてお歯黒を付け、眉を剃り、厚化粧をして殿上眉を引きます(引眉)。皆さんがよく知る、お姫様のできあがりです。
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