カイロス総合法律事務所 ・ 田邊勝己弁護士 独占インタビュー ~ 弁護士と企業経営、業界慣習に挑み続ける理由 ~
―WHY HOW DO社の経営に携わるきっかけは
私が色々な実業をやっていたこともあり、資金の相談を会社側から受けたことがきっかけだ。経済的にも支援しないといけない雰囲気となり、携わることになった。携わってから7年が経ち、苦労しているが、なんとか再建をやり遂げたいと思っている。 私の若い頃、弁護士は「絶対事業をやってはいけない」と先輩から言われていた。弁護士は若くして社会でそれなりの地位の人に会い、経営者から相談を受けることもある。自分でも経営が簡単にできると思い込んでしまう。絶対にその誘惑に負けてはダメだと。 ただ、例えばアメリカではそういった雰囲気はなく、これからグローバル化していくなかで、弁護士が裁判関係だけを取り扱っていればいいというのにも疑問があった。多くの倒産事件を扱ってきて、先駆者としてやってみる価値があるのではないか。教訓も十分わかった上で、企業経営に挑戦することにした。 経済力をある程度持てば、多くの人にも貢献でき、事務所で有能な方を雇える。そういう面でも挑戦してもいいのではないか、ということも動機となった。ある意味、誰もやってない、やるなと言われたことで反骨精神に火が付いた。
―事務所として積極的に手掛けている事案は
取り扱い事案は、民事や刑事、企業再建、債権回収事案など、ほぼ全ての種類の事案をやっている。新聞などでも報道されるような民事事件を手掛けている。また、刑事告訴して犯人を逮捕してもらった事案もあるし、民事でも会社整理のトラブルを最近解決した。東京でも太陽光発電に絡んだ会社の乗っ取り事件があり、他の事務所ではうまく進展していなかったが、事務所に相談があり私自身、懸命に証拠を調べて提案し、解決に導いた。 倒産事案の取り扱いは、以前に比べると減っている。昔みたいに民事再生や会社更生事件がたくさんあるという時代ではない。中小企業等金融円滑化法などもあり、金融機関に助けられている企業は多い。なので、それでもダメになった企業はもう破産しかない。当事務所はそれでも立ち直る機会がないのか、工夫してサポートしている。 最近、20年ぐらい前に一時倒産の危機に陥った社長に話を聞いた。その社長はオーナー一族からすると異端児のような扱いで、まさか自分が社長をやるとは思っていなかった。だが、たった3年で負債70数億円を圧縮し、「いい会社」にした。その社長は、「どうやったら事業を改善できるか、どうしたら従業員の心が1つにまとまるのか、寝ても覚めても経営について考えている」と話されていた。諦めないで考え続けることも大切だ。