カイロス総合法律事務所 ・ 田邊勝己弁護士 独占インタビュー ~ 弁護士と企業経営、業界慣習に挑み続ける理由 ~
―地方企業を活性化させる方策は
私は、東京、大阪、鳥取を行き来しているが、週末に自然豊かな鳥取に行くと、心が豊かになる。そこで新たな活力を得て、また大都市圏に戻り、活躍できる。 地方も非常に努力しているが大都市圏に産業を取られてしまっているのが実情だ。難しい問題だが、地方に行って、そこで何かできないかと考えてみることが必要ではないか。 当社(WHY HOW DO社)でもDX創生として「ふるさと物語」事業というのに取り組んだことはあるのだが、なかなか実を結んでいない。だが、地方にいると人間として落ち着くし、心が豊かになる。だから積極的に都会の人も地方に行ってみる。また、地方の人も都会の人を地元に誘致してみるようなことで、何か接点ができてきて、新しいものが生まれていく可能性はあるのではないかと思っている。 私は今、経営者の立場でもあるが、企業のリーダーである以上、人間性を高めて、人間に対する理解を深める必要がある。だからこそ、物事を広い目で見て、多少精神にも余裕がないといけないし、そういう意味でも地方と関わり合いを続けることが必要だ。 ふるさと納税をしているのであれば、納税している先に行ってみるとか、そういうことも必要だろう。自分が持っている接点を思い描き、自分と関係ある先に一度出かけてみると、違う見方ができる。 ◇ ◇ ◇ インタビューの最後に「弁護士と経営者、どれぐらいのウェイトをかけているのですか」と尋ねてみた。「一時はWHY HOW DO社の経営にかなり注力していた時期もあったが、今は弁護士業務にも真剣に取り組んでいる。現状は五分五分」と語った。 岡山大輔弁護士は、「最近は破産管財事件に取り組んでいるほか、事業再生実務家協会への加入が認められた」と語る。 田邊弁護士は、これまでに身に付けた弁護士業務にとどまらず、企業経営のノウハウを事務所に所属する若手弁護士に引き継ぐことに尽力している。本当の経営の苦しみを知る弁護士は少ない。田邊弁護士が培ってきた経験は着実に次代につながっている。 (東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2024年7月11日号掲載「WeeklyTopics」を再編集)