病気や障がいある子どもの兄弟姉妹『きょうだい児』応援 NPO法人の思い「まずは存在知ってほしい」
病気や障がいなど、特別なニーズのある人を兄弟姉妹に持つ子どもを「きょうだい児」と呼ぶことがあります。そんな子どもたちのことを親しみを込めて「きょうだいさん」と呼んでいるのが、「NPO法人しぶたね」です。 【写真】きょうだい児の気持ちに寄り添う 「NPO法人しぶたね」が開催するワークショップの様子 2003年に誕生した同法人の代表・清田悠代さんがラジオ番組に出演し、「きょうだい支援」について語りました。 幼いころから、不安や寂しさ、罪悪感、プレッシャー、悲しみ、怒りなど、多くのことを感じているきょうだいさん。保護者はきょうだいの治療に追われていることから、なかなかケアができないことも多いそうです。 「家族の誰かが病気になると、どんなに小さなきょうだいも影響を受けているし、我慢をして寂しい気持ちにふたをしていることがあるんです。そんなきょうだいたちが安心のなかで大きくなっていけるように、できることを考えたいです」(清田さん) きょうだいさんのためのヒーロー・シブレンジャーのシブレッドも、このように語ります。 「(きょうだいさんは)本当にかわいくてかっこいいヒーローたち。『いてくれてありがとう』『そこにいてくれるだけで周りの人みんなを笑顔にできてるんやで』ということを伝えられたらいいなと思っています」(シブレッド) 自分に課せられているハードルが高すぎることを認識できず、我慢するのが当然と思いながら過ごしているきょうだいさんは、「頑張っているね」と声をかけられても、すぐにはピンとこないこともあるのだとか。そのため、「あなたのお話を聞きたい」「あなたに会いに来た」ということが伝わるまで、長いときには半年ほどかかることもあるのだといいます。 実は、清田さん自身も元・きょうだいさんだったのだそう。17歳のときに弟を亡くしたそうで、当時、周囲の大人から「お母さんのことを助けてあげてね」「弟の分も頑張って生きてね」と声をかけられることが最もつらかったそうです。 当時の心境について、「(大人たちの)優しい気持ちはわかるんですけど、でも、『私は2人分も頑張れない』と無力感を感じた」と振り返った清田さん。 さらに、「『母を支えなきゃ』と思うけど、それがうまくいかないもどかしさもあったし、私自身の悲しい気持ちに向き合う時間がうまく取れなくなった。(自分には)泣く資格もないような気がして、そこから何年も泣けなくなっちゃったんです」と赤裸々に語りました。 では、どのような言葉をかければいいのか。この課題について、「大人は『気の利いたことを言わなきゃ』と思いすぎている」としたうえで、「言葉よりも寄り添ってほしい」と呼びかけました。 「たとえば、声をかけなくても、横にいるだけで『安心が伝わってくる』と受け止めてくれたり、(子どもは)自分の力に変えてくれる。(子どもに対して)『ずっと泣いていてもいいし、笑っていてもいい。どんな心の色でも大丈夫だよ』と思っているだけでも十分だと思います」(清田さん) そんな“寄り添う姿勢”を大切にしながら行っている取り組みが、「きょうだいさんの日」です。きょうだいさんたちが主役となり、仲間と出会いながら遊べるワークショップで、清田さんいわく、「とにかく遊んで、『自分は大事にされている』という経験を積んでもらうイベント」だといいます。 ほかに、感染症対策のため病棟に入ることができないきょうだいさんのために、待っている間一緒に過ごすことのできる居場所づくりも。 さらに、毎週金曜日の夜には、30分ほどシブレッドたちと話をすることができる「シブレッドの部屋の扉、開けておくね」というオンラインイベントも実施しています。 きょうだいさんに向けて、シブレッドはこのように呼びかけました。 「きょうだいさんたちは『自分はここにいていいのかな』と話すことがあるので、『ここにいていいんじゃないよ、ここにいてくれてありがとうだよ』ということをたくさん伝えていきたい」(シブレッド) 清田さんも、「仲間がたくさんいることを伝えられたら」とコメント。「もちろん、つらい気持ちになっている子どもは少ないほうがいいんですけど、つらい気持ちもその子にとっては大事な気持ちだと思うので、ちゃんと居場所を作りたい」と熱く語りました。 ※ラジオ関西『Clip木曜日』2024年10月17日放送回より
ラジオ関西