両手フリーで安全確実にはんだ付けできる、クリップ付きスタンドに注目
配線作業だけでなく手芸や模型工作でも活躍するクリップ付きスタンド
空中にある「モノ」を固定して両手をフリーに使えるアイテムとして普及しているのがクリップ付きスタンドです。かつては秋葉原の電気工作材料店などのマニアックなショップでしか購入できなかったものですが、現在ではネットショップを通じて1000円台から買えるようになっています。 ツールクリップ、サポートスタンド、ヘルピングハンズなどなど製品名はまちまちですが、スタンドとクリップの組み合わせが基本スタイルです。模型工作や手芸やはんだ付けなど、細かな作業を行う際に部品を保持でき、両手を自由に使えるのが最大の特徴です。 クリップ根元の関節や手元を拡大するルーペの有無、はんだごてホルダー付きか否かなど、さまざまな仕様があり、はんだごてホルダー付きのスタンドであればはんだごてをセットしてもスタンドが転ばないよう土台がしっかりしているなどの特徴があります。 2本の配線を突き合わせるのなら、作業台に置いてはんだ付けしても結果は同じだと思うかもしれません。しかし作業台に熱が加わって焦げたり、こて先が当たらない裏側にはんだが回り込まないなどの不具合も少なくありません。この点でも、芯線の全周に熱を加えられる空中保持が可能なスタンドの利点は小さくありません。
芯線をはんだ付けする際は熱収縮チューブを忘れずに
クリップ付きスタンドで配線を保持することで、配線の延長や短縮で芯線をはんだ付けする作業の効率がアップし、仕上がりが良くなるのは確実です。 特に3本、4本といった複数の配線の長さを変更する際には、芯線を突き合わせた状態でクリップ固定することではんだ付け部分で曲がったり、捻った芯線で結合部分が太くならないため配線をスリムに仕上げることができます。 クリップで保持しながら配線をはんだ付けする際に、絶縁のために必ず使いたいのが熱収縮チューブです。ハーネステープやビニールテープは巻き重ねることで配線が太くなり、テープの接着成分によって巻いた部分がベタベタすることもあります。 それに対して熱収縮チューブははんだ付け部分に隙間なくぴったり張り付き、曲げても剥がれることはなくベタつきもありません。ただ筒状のチューブは後から通すことができないので、忘れずにはんだ付け前に通すことが重要です。 また、はんだ付けした際に突き合わせた芯線の端部が飛び出していると、収縮したチューブを突き破ってしまう場合もあります。それがアース(マイナス)側であればまだ幸いですが、プラス(電源)側の配線でフレームに接触するとショートする危険性があります。 ヒューズを交換してもすぐに切れてしまうような明らかなショートなら見当がつきますが、何かの拍子に芯線が車体に触れて、たまにヒューズが切れるという症状の場合は原因の特定に手間取る場合もあります。 そうならないよう、熱収縮チューブを収縮させた後は芯線が飛び出していないか否かを確認することが重要です。 結線作業は電気系のアクセサリーパーツを装着する際に不可欠です。エレクトロタップで手軽に済ませるか、ギボシ端子を使うのか、はんだ付けで恒久的に結線するかは時と場合によりますが、しっかりはんだ付けしたいのなら配線を保持できるクリップ付きスタンドのようなアイテムを活用すると良いでしょう。 【POINT】 ▶ポイント1・はんだ付けで配線をつなぐ際に一方が固定されていれば作業しやすいが、どちらも浮いた状態だと安定しない ▶ポイント2・クリップ付きスタンドで配線を保持することで作業者が両手を自由に使えるようになり、芯線のズレや外れに気を取られることなくはんだ付け作業に集中できる ▶ポイント3・はんだ付けで結線した後の絶縁は、ハーネステープやビニールテープより熱収縮チューブの方が確実に処理できる
栗田晃