イスラエルによるガザの死者、間接死含め十数万人か 餓死6.7万人、米国も殺戮に加担
ネタニヤフが「間違っていても」結局支援するバイデンの体たらく
この論文は、イスラエルがガザに対する戦争でやっていることはジェノサイド(集団殺害)にあたるのかという議論を思い起こさせる。国際司法裁判所(ICJ)は、イスラエルがジェノサイドを犯していると判断するのは「妥当なように思える」としている。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチの設立者のひとりであるアリエフ・ネイヤーのような専門家はもっと直截に、イスラエルがガザへの人道援助の流れを妨害していることはジェノサイドの明確な指標だと指摘している。 イスラエルによるガザでの行為をジェノサイドと呼ぶか、戦時国際法の重大な違反の連続と呼ぶかは別として、この殺戮はいますぐ止めねばならない。イスラエルに資金や武器を供与する役割を果たしている米国は、イスラエルの行動に対してほかのどの国よりも大きな影響力をもっている。もし米政府にそれを行使する意思があるのであれば。 イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が何がなんでも現在の戦争を続けようとする可能性はある。それでも、米国から資金や武器の供与、兵站・整備面での支援を受けられなければ、ネタニヤフは軍事行動の範囲を限定され、現在進行中の地域戦争に拍車をかけにくくなるはずだ。 一方で、状況がさらにエスカレートする可能性はまぎれもなく存在するし、それは危険なことでもある。米政府がTHAAD(終末高高度地域防衛)防空ミサイルシステムを米軍の支援要員100人とともにイスラエルに配備すると決めたことは、エスカレートさせる方向への新たな一歩だ。もしハマスや、レバノンのシーア派組織ヒズボラのロケット弾やミサイルでこの部隊に死者が出れば、米国のジョー・バイデン政権はどのように対応するつもりなのだろうか。 バイデンは事実上、戦争をエスカレートさせるかどうかの決定権をネタニヤフに委ねている。イスラエルがヒズボラやイランを攻撃すると、バイデン政権は避けられない反撃からイスラエルを守るのを助けると約束する。ネタニヤフの見境のない行動に一層の支援で報いる、この「ネタニヤフが正しくても間違っていても」政策はやめるべきだ。 政策を急転換しなければ、イスラエルの戦争を支援することに伴う米国の人的・経済的コストは容易に制御不能に陥るおそれがある。正確なたとえではないが、現在の状況は2003年にジョージ・W・ブッシュ米政権がイラクに介入した初期のころを想起させる。ホワイトハウスは当時、イラクでの戦争のコストは「たったの」500億ドル(現在の為替レートで約7兆5000億円)だと見積もっていた。ところが、その額は最終的に少なくとも1兆ドルに膨れ上がり、それとは別に、従軍した軍人を生涯にわたって支援する費用もかかることになった。