イスラエルによるガザの死者、間接死含め十数万人か 餓死6.7万人、米国も殺戮に加担
筆者とハーバード大学公共政策大学院のリンダ・ビルムズ、安全保障政策改革研究所(SPRI)のスティーブン・セムラーはこのほど、米国によるイスラエルへの軍事援助とそれに並行する中東での軍備増強のコストに関する論文を発表した。研究はブラウン大学の「戦争コストプロジェクト」の支援を受けて行われたものである。 パレスチナ自治区ガザ地区での戦争が始まって以来、イスラエル向け援助と中東での米軍のプレゼンス増強のために米国の税金220億ドル(約3兆3000億円)以上が投じられているという調査結果は、主にAP通信のエレン・ニックマイヤー記者による独占記事を通じて広く流布した。 他方、筆者らの論文と同じ日に戦争コストプロジェクトから発表された、この戦争によるガザとヨルダン川西岸での人道上のコスト(人的被害)を広範に分析した対になる論文は、残念ながらあまり注目されていない。この状況は改められなくてはならない。バード大学のソフィア・スタマトプルー=ロビンズによるこの研究成果は、米国のすべての政策立案者、そして米国の信用と将来の影響力を気にかけるすべての米国人が注意を払うべきものである。 イスラエルの軍事行動によるガザでの直接的な死者は、現在までに4万人を超えると推定されている。ほとんどは、イスラエルの行動のきっかけになった襲撃を起こしたイスラム組織ハマスのメンバーではなく、ハマスの行為に対してなんの影響力ももっていない人たちである。この死者数だけでも受け止めるのは難しい。おぞましく、常軌を逸しているし、気が遠くなるほどの多さだ。だが、間接的な死者を含めると、事態はもっと陰惨でひどいものだとあらためて気づかされる。 スタマトプルー=ロビンズは、この戦争が始まって以来、ガザの住民6万7000人超が餓死した可能性があり、さらに1万人以上がいまも瓦礫の中に埋もれているため死者数にカウントされていない可能性があると推定している。建物を瓦礫に変えた破壊には、米国が供与した航空機や爆弾なども使われている。 これらの犠牲者を加えると、この戦争の死者はゆうに10万人を超える。悲しいことだが、その数は今後さらに増えるだろう。現地では清潔な水や衛生設備、医療アクセスが不足し、住民の間で病気が増えているからだ。仮にガザに対する空爆があす止まったとしても、住民が強いられているひどい生活条件を考えれば、戦争に起因する死者はしばらく出続けるに違いない。