女子生徒に短髪強制、恋愛禁止…「子供が嫌がるルールって必要?」 女の子のスポーツ離れに世界的金メダリストからの警鐘
競泳金メダル5個獲得の世界的スイマー、ミッシー・フランクリン・ジョンソン単独インタビュー
女の子のスポーツ参加の課題解決に向け、国内外のアスリートや有識者が参加した「女の子のスポーツを変えるウィーク -COACH THE DREAM-」(主催=ナイキ、ローレウス・スポーツ・フォー・グッド財団、協力=「プレー・アカデミー with 大坂なおみ」パートナー)が10月16日から5日間行われ、18日の東京サミット午前の部では女子プロ野球・読売ジャイアンツの田中美羽選手、パリ五輪バスケットボール女子日本代表ヘッドコーチ・恩塚亨さんらが登壇し、パネルディスカッションが行われた。また、同じイベントに出席した競泳で五輪金メダル5個を獲得した世界的スイマーで、ローレウスアカデミーメンバーのミッシー・フランクリン・ジョンソンさん(米国)が「THE ANSWER」の単独インタビューに応じ、女の子のスポーツ離れの現状と課題、そして、解決に向けたメッセージを送った。(取材・文=THE ANSWER編集部・神原 英彰) ◇ ◇ ◇ 今回の「女の子のスポーツを変えるウィーク」は女の子のスポーツ参加の課題解決に向け、国内外のアスリートや有識者がアクションを行うもの。期間中には小4から中3までを対象とした運動セッションや保護者向けのプログラム、スポーツ現場のコーチやメディアに向けた指導者研修も行われた。 10月18日に開催された東京サミットの午前の部は、田中選手、恩塚さんというスポーツ界の第一線で活躍した面々をはじめ、スポーツとジェンダー研究が専門の中京大・來田享子教授ら専門家を交えたパネルディスカッションを実施。1週間の総運動60分未満は小学生男子が9%、女子が16.2%、中学生男子は11.3%、女子は25.1%で、中学生になると女子の運動時間が減り、男女間で2倍の格差が生まれていることが紹介され、さまざまな立場から議論が交わされた。 さらに、17歳で出場した2012年ロンドン五輪で金メダル4つ、2016年リオデジャネイロ五輪で金メダル1つを獲得した競泳界の世界的スイマー、ミッシーさんもパネルディスカッションに登壇。そして、イベント終了後に応じた「THE ANSWER」の単独インタビューで、この課題への想いを吐露した。 ――今回は「女の子のスポーツ離れ」の解決をテーマにしたイベントでした。改めて、この問題にかける想いを聞かせてください。 「世の中には変えられないことはたくさんあると思いますが、この課題に関しては私たちで力を合わせれば変えられること。アウェアネス(認識、自覚、意識)を高めていくことがとても大事です。(国によって)文化的な考えや習慣もあると思いますが、若い女の子が同年代の男の子と比べると運動の時間や活動量が少ない、という認識を人々が高めることで変えていけると思っています」 ――今後、私たちが具体的に考えていかなければいけない課題は何でしょうか。 「まず、コーチのあり方はとても大事なポイントです。今回、私たちから日本語のガイドブック(※)がリリースされますが、11歳から15歳くらいの女の子にどんなニーズがあるのか理解が深まることで、女の子が運動を続けていくことも可能だと思います。だから、“女の子を支えるコーチをさらに支えること”が大事なテーマなんです。そうしたサポートを続けて、女の子自身も自分たちの声を上げることによって、スポーツを長く続けられますし、私もその環境作りに貢献したいと思っています」 (※)女の子のスポーツ参加を促す指導者ガイド ――部活動が盛んな日本は特に男性コーチが多く、異性である女子選手の指導が難しいという声が聞かれます。男性コーチであっても上手に指導すれば、女の子のスポーツ機会を阻害することはないのか、あるいは女性コーチが増える方が安心感につながるのか。コーチの性別についての考えを聞かせてください。 「その両方が大事です。男性でも素晴らしい(女子指導の)コーチになれる方はたくさんいると思います。私自身、素晴らしい男性のコーチに恵まれていました。一方で、女の子が自分を代表してくれていると思えるような女性がロールモデルとして自分の前にいると見せてあげることも大事。両方とも底上げする必要があります」