ポルシェのEV化戦略に明らかな変化。カイエンは今後10年はエンジン車を継続へ
PHEVを売ってEV開発の原資を稼ぐ戦略か?
最近の欧州メーカー各社は、EVシフトのペースが予想より遅いことから戦略の見直しを迫られている。アウディやステランティスはいち早く手を打ち、電動化を進めつつ内燃機関搭載車も設定している。メルセデス・ベンツは掲げていた「2030年の新車販売完全EV化」を撤回して、新型エンジン搭載車を2027年に発売するほか2030年以降も複数の内燃機関搭載車を投入すると発表した。今後、BMWグループやルノーにもなんらかの動きがあるかもしれない。 2023年3月、欧州委員会は、“2035年のエンジン車全廃”から合成燃料または水素を利用する場合に限り販売を容認する改正法案を採択した。とは言え、現状では2035年というリミットが根本的に覆ったわけではない。 一方で、欧州市場/北米市場ではEVシフトが思うように進まず、各メーカーはEVシフトを進めつつ内燃機関車も並行して販売せざるを得ない台所事情もある。本来ならばEVの開発に原資を集中させたいのがメーカーの本音だと思われるが、 “ガソリン車やPHEVをできるだけ売ってEVの開発原資を稼ぐ”戦略に舵を切り直しているのではないだろうか。その結果、しばらくのあいだは混沌とした状況が続くのかもしれない。もっとも、ユーザーにしてみれば、選択肢が増えるのは悪いことではないが・・・。