ポルシェのEV化戦略に明らかな変化。カイエンは今後10年はエンジン車を継続へ
2030年電動化率80%の方針は変わらず柔軟に対応か
ポルシェAGのオリバー・ブルーメCEOは「2030年には新車の80%以上を完全に電動化することができます。これはお客様の需要と世界の地域でのエレクトロモビリティの発展次第です」と、従来の戦略の根幹にブレはないものの、ある種の“マルチパスウェイ戦略”への変化を匂わせている。 また、「ツッフェンハウゼンエンジン工場で製造されたV8エンジンの効率を向上させることに焦点を当てています。広範な技術的対策により、ツインターボエンジンは将来の法的要件に準拠する準備ができています」とコメントしている。 “2030年”というのは、ポルシェが打ち出している電動化戦略(2030年に新車販売の80%をEVとPHEVにする計画)を指す。上述の新型マカンは、一部地域では2026年まで内燃機関を搭載した旧モデルも併売されるが、以後はEVモデルのみになる。そして今年中の発表が見込まれる新世代718ボクスター/ケイマンもまたEVモデルとなり、旧モデルがしばらく併売されたのちに、完全なEV専用車になると言われている。 対してカイエンには、少なくとも今後10年は内燃機関を残すことが宣言された。さらにブルーメCEOは「2030年代には、パワフルで効率的な内燃エンジンモデルおよびハイブリッドモデルを多数ラインナップする予定です」と語り、かつて宣言された電動化戦略を堅持しつつもその内容が見直されつつあることも示唆している。マカン、718ボクスター/ケイマンは、EVモデルとともに内燃機関を搭載した旧モデルの併売期間が当初の計画より延びる可能性もあるようだ。 同様のアプローチはアウディも採用しており、新たに登場するEVのモデル名は偶数、内燃機関搭載車は奇数を充てたうえで事実上併売される(たとえばQ6 e-tronと今秋発表される新型Q5、近日中に発表されるA6 e-tronと7月16日に発表された新型A5など)。EVはPPEだが、内燃機関搭載車はエンジンを大幅にブラッシュアップするがプラットフォームは前型の改良版だ。