小浜・京都ルートは「千年の愚行」 ついに仏教界の怒りも招いた北陸新幹線・大阪延伸問題! 年内詳細ルート決定断念、地下水問題で揺れる計画の行方とは
京都盆地の危機か
今後のスケジュールは地元への説明で京都府市の同意を得られると判断したあとで、詳細ルートを決定し、環境アセスメントの手続きを進めるとみられる。だが、環境アセスメントは準備書を作成した段階で京都府知事の意見が入る。 「見切り発車」 で強行などすれば、厳しい意見が出ることになりかねない。 個別の問題で京都府市の同意を得るのも難題だ。最たる問題が地下水への影響だろう。京都市がある京都盆地には琵琶湖の約8割に達する大量の水があることが、楠見晴重関西大元学長の調査でわかっている。推計された地下水量は200億t以上になる。 水の出口は府南部に位置する八幡市の男山と大山崎町の天王山の間だけ。京都盆地の地下が 「巨大な水がめ」 になっているわけだ。地下水は深い層と浅い層にわかれて北から南へ流れ、酒造で有名な京都市伏見区まで続く。この水が酒造だけでなく、 ・染色 ・京料理 ・茶道 など京都を支えてきた産業、文化に利用されてきた。
「掘ってみないとわからない」の声も
京都市内を通るトンネル工事は、深さ40mより深い大深度地下でシールド工法を取る。鉄道建設・運輸施設整備支援機構が地下水への影響を解析したところ、地下水位低下が予測されなかった。京都市がシールド工法で整備した市営地下鉄東西線の二条駅(中京区)~太秦天神川駅(右京区)間も、周辺井戸への影響がほとんどなかったとしている。しかし、専門家のなかには 「掘ってみないとわからない」 と指摘する声がある。岡山大学の西垣誠名誉教授は2020年、地下水学会誌に寄稿した「トンネル施工における地下水環境保全」で過去に湧水流量が多いと予測され、ルート調整した事例があることを報告している。 シールド工法は基本的に水を通さない構造で、地下水への影響が小さいとされるが、懸念を解消する説明ができるのだろうか。説明の仕方によっては反対住民らの反発を招き、混乱を助長することも考えられる。 このほか、京都府環境影響評価専門委員の試算で少なく見積もって10tダンプ160万台の880万立方メートルとされる残土処理、南丹市など山岳トンネル区間約80kgの残土に含まれる 「ヒ素」 など、住民の不安をかき立てる問題が残る。