新型エンジンを次々投入、ドゥカティ本社で見たスピード感の源泉「オリジナリティは発明から生まれる」
◆発明から生まれる高いオリジナリティ
「バイクとは関係のない話をしましょう」とドゥカティのCEOであるクラウディオ・ドメニカーリさんは話を始めた。僕はこの日、イタリアのボローニャにあるドゥカティ本社で開催されたテックトークというイベントに参加。これは昨年からスタートした企画で、今年は世界中から9人のジャーナリストが集められ、ドゥカティ本社の開発や実験の細部を見学できるというもの。 【画像全20枚】
「私たちはレオナルド・ダヴィンチを開発のインスピレーションの源にしています。彼の人生はドゥカティととても似ているのです。たくさんの著名人の中から、なぜレオナルド・ダヴィンチを選んだかというと、彼は彫刻などの美術品を生み出すだけでなく、様々な機械を発明していたのです。エモーショナルで感情を掻き立てるモノをたくさん作ったのです。ドゥカティもカスタマーやサーキットに来る人たちの感情を掻き立てなければなりません」
「また、理論を基に試験を行い、それを実現するというメソッドを大切にしています。全てを計測し、科学的なアプローチをするのです。たくさんの試験を行い、失敗をし、それをどう解決するか。失敗した原因を追求することも大切です。この科学的アプローチには深い知識が必要になります。レオナルド・ダヴィンチのような科学的なアプローチが、いまドゥカティが追求すべきことなのです」とクラウディオさん。
確かにドゥカティには、他メーカーにないオリジナリティがある。バルブ開閉機構のデスモドローミックやエンジンをフレームのメイン剛体とするフロントフレーム思想。さらにMotoGPマシンを見てもドゥカティのアイデアを他メーカーが引用しているケースが多く見られる。こうした背景には、ドゥカティを牽引するクラウディオさんが描くレオナルド・ダヴィンチ的な思想がとても大きいのだ。
◆様々な原因を素早く追求するための研究室も用意
今回のテックトークのプレゼンは、エンジンデパートメント(エンジン設計室)というドゥカティの社内でも最も機密事項が多い部屋で行われた。この部屋には9機のエンジンベンチがあり、フル稼働。この日は、終日V4サウンドが轟いていた。