ロンドンマラソンでトップ5を独占したナイキの新厚底シューズの威力とは?
今年のロンドンマラソン(4月28日)で見応えたっぷりのレースが展開された。トップ集団は中間点を1時間1分37秒で通過。その後、欧州記録を持つモハメド・ファラー(英国)らが脱落。25km以降は世界記録保持者のエリウド・キプチョゲ(ケニア)とエチオピア勢3人の争いになった。 ペースメーカーが外れた後は、キプチョゲを軸にレースが進む。隣国のライバルたちに包囲される形になっても、絶対王者は強く、その走りは美しかった。35kmから40kmの5kmを14分26秒に引き上げて、ラスト2.195kmを6分18秒で走破。エチオピア勢を引き離して、悠々とゴールに飛び込んだ。 ロンドンでの栄冠は4度目で、優勝タイムは2時間2分37秒。昨年9月のベルリンで樹立した世界記録(2時間1分39秒)には1分ほど遅れたが、世界歴代2位という圧巻のパフォーマンスだった。 「このレースの勝ち方を知っているし、勝つ自信はありました。今回はハイレベルになりましたが、それはとてもいいことです。ロンドンの観衆は素晴らしく、終盤は沿道の歓声に驚きましたね。その中でゴールできて、こんなにうれしいことはありません。歴史をつくることができたと思います」 リオ五輪を含む世界のメジャーレースで10連勝を達成したキングはいつも通り、静かな笑顔を見せていた。キプチョゲがフィニッシュした後も、素晴らしいタイムが続々と誕生した。 2位のモジネット・ゲレメウ(エチオピア)は世界歴代2位の2時間2分55秒、3位のムレ・ワシフン(エチオピア)は世界歴代7位の2時間3分16秒。4位のトラ・シュラ・キタタ(エチオピア)が2時間5分1秒、5位のファラーが2時間5分39秒と、トップ5までは日本記録(2時間5分50秒)を上回った。 歴史的な高速レースで選手以上のインパクトを残したのが、テレビ画面でも目立ったグリーン色のシューズだろう。男子の上位5名は、7月に一般発売されるナイキの「ズームエックス ヴェイパーフライ ネクスト%」というモデルを履いていたのだ。 2017年に「ズーム ヴェイパーフライ 4%」というナイキの“厚底シューズ”が登場して世界のマラソンシーンは劇的な変化を遂げた。2017年と2018年のワールドマラソンメジャーズでは、トップ3の男女合計72人のうち、42人がナイキの厚底シューズを着用。2018年のワールドマラソンメジャーズはアシックスを履く川内優輝がボストンを勝った以外、他の5大会(東京、ロンドン、ベルリン、シカゴ、ニューヨークシティ)はナイキの厚底シューズがトップフィニッシュを飾っている。日本記録を塗り替えた設楽悠太(Honda)と大迫傑(ナイキ・オレゴン・プロジェクト)、昨年12月の福岡国際を2時間7分27秒(日本歴代8位)で制した服部勇馬(トヨタ自動車)も同シューズの愛用者だ。