棚橋弘至は選手と社長の「二刀流」 また新日本プロレスを救えるのか?「V字回復させる自信がある」
【自分が"トップ営業マン"になる】 ――棚橋さんといえば、新日本プロレスが苦しい時期に人気をV字回復させた立役者ですが、今度は社長として団体経営をどのように担っていきたいですか? 「新日本は、2020年まで右肩上がりで成長していました。しかし、コロナ禍で観客動員数が大きく減少してしまい、本当に悔しかったですね。選手として『やり遂げた』という達成感を感じていたなかで、コロナ禍という外的な要因でビジネスがうまくいかなくなったことが本当にショックで、『自分のプロレスラーとしてのキャリアはなんだったんだろう』と打ちひしがれるほどでした。 でも、今またプロレスを楽しめる状況が戻ってきたので、『もう一度、V字回復を』という強い思いがあります。選手としてだけでなく、社長としても結果を出せたら、さらに格好いいじゃないですか」 ――選手と社長、視点の違いをどのように感じていますか? 「僕がプロレスラーという立場だけだったら、『チャンスがあったら自分がいきたい』と思うこともあります。でも、社長の視点を持つことで、『このタイミングなら自分ではなく、この選手が適任だ』と冷静に判断できるようになりました。そういった意味で、少し大人になれたのかなと思います」 ――新日本の経営について、より俯瞰で見られるようになったと。 「そうですね。自分が出るところは出て、"縁の下の力持ち"になれるところでは、そうなっていければいいという感じです」 ――過去のプロレス団体は、団体の顔である選手が社長を務めながら、経営の実務は専門家に任せる印象がありました。棚橋さんは、ご自身で経営にもしっかり関わりたいと考えていますか? 「木谷オーナーからは、『プロの社長になってください』と言われました。だから、損益計算書を確認したり、株主総会にも初めて出席したり、ブシロードの役員会議や新日本の部署ごとの会議にも参加しました。"社会人1年目"のような新鮮な感覚で、スポンジのように吸収するつもりで取り組んでいます。これらをベースに、2025年はさらに活動の幅を広げていきたいですね」 ――どんな動きをイメージされていますか? 「たとえば、スポンサー契約を取る際には、営業担当と一緒に僕が"トップ営業マン"となって自ら挨拶に伺いたいと考えています。そして、『新日本プロレスのファンはこういう層の方がいて、これだけのインプレッションや影響力があります』と、しっかりプレゼンできる社長を目指しています」