チーム対抗・電動バイクレース FIM E-EXPLORER WORLD CUP 万博記念公園大会レポート!
前述のように、このレースは男女ペアでそれぞれのレースを戦い、総合結果で争うフォーマット(各順位ごとの獲得ポイントの合計)となっている。朝のフリー走行を見て感じたのは、コースが想像以上に難しく、またライダーのレベルも高いこと。スーパークロスのような巨大なジャンプやリズムカルな高難易度のセクションはないものの、板で作られたジャンプは全て鋭角に尖っており、それはすなわち正しいライディングフォームで通過しないとキックバック(リアからの突き上げ)を食らうことになるのだ。そしてモトクロスでいう「フープス(かつては「ウォッシュボード」とも呼ばれた洗濯板状の小さな連続コブ)」も極厚の板で製作されていた。実は金曜日のフリー走行では、CR ELECTORIC PROTOなどのパワーに負けて、何度も高速で走行するうちに板が破損してしまい、急遽強度を高めて本番に挑んだのであった。 さて、本イベントは事前告知がほとんどなかったが、蓋を開けてみれば土曜日には1082人の観客が集まった。開会式では全日本トライアルチャンピオン小川友幸選手や、ヤマハの電動トライアルバイク「TY-E2.2」で全日本トライアル選手権を戦う黒山健一選手も駆けつけ、軽快なトークを披露。二人はレース中にも解説をしてくれたが、電動ならではの無音の会場内でよく声が通り、プロ目線からの解析で大いに観客を楽しませてくれた。さらにサプライズ演出として、全身モトクロスウエアに身を包んだ吉村洋文氏(大阪府知事)も登場し、自身のバイクへの想いを披露。CR ELETRIC PROTOにまたがった吉村府知事は「本当は走らせてもらうつもりでしたが、流石に止められました。転倒でもしたら記事に書かれてしまうので(笑)」と名残惜しそうにバイクにまたがる姿が印象的だった。
海外のトップライダーが集結
HRCのトーシャ・シャレイナ選手(スペイン人・男性)は2024年ダカールラリーに参戦したライダー。プロローグランで自身初のステージ優勝を果たし期待されたが、翌日のステージで手首を骨折してリタイアしている。その影響がまだ残る中、見事な走りをしてみせた。女性のフランチェスカ・ノチェラ選手もイタリアのトップエンデューロライダーとして輝かしい戦績を残している。また、インドのKTMチーム「インデレーシング」」のサンドラ・ゴメス選手は、スペイン出身の世界的に有名なトライアルライダー。オーストラリアのチーム「AUS-Eレーシング」から参戦する自国女性ライダー、ジェシカ・ガーディナー選手もまた、ISDE(インターナショナルシックスデイズエンデューロ・国別世界対抗戦)で活躍したトップライダー。参加チーム、ライダー数はまだ少ないながらも全体的にハイレベルなレース展開が見られた。 レースの方も白熱のバトルが展開され徐々に盛り上がりを見せていく。男子レース1はロビーマディソンレーシングのホルヘ・ザラゴサ選手(STARK)が優勝。小川選手の解説によると、ザラゴサ選手はライダーとしてのレベルが極めて高く、一人だけ違うラインを攻める姿も見せた。フリー走行、予選ともに頭一つ抜きん出た存在だったが、ヒート1でそれを証明した。続くヒート2、3も制し圧倒的な強さを示した。対するHRCのシャレイナ選手はヒート2、3で2位を獲得した。