【特集】なぜ不漁? 海の環境変化か 親しまれている“サケ文化”にも危機!?《新潟》
卵から稚魚を育て放流
三条市を流れる五十嵐川。 地元漁協はこの川沿いにサケの「ふ化施設」を持ちます。 卵から稚魚を育て、毎年春、川に放流します。 この施設では受精卵のふ化作業が行われていました。 〈五十嵐川漁協 飯塚喜一組合長〉 「自然産卵は稚魚になるまでの率があまり良くない、3割くらい。人間の手を加えれば、病気にさえならなければ8割くらい放流できる」
「採卵したいけど魚がいない」
卵から稚魚を育て、川に放流。 海から故郷の川に戻ったサケからまた稚魚を育てる。 これは放流事業と呼ばれ、水産資源の確保のために国や県が支援しています。 糸魚川から長岡、佐渡など県内全域21か所で行われ、サケ文化を育てています。 柏崎市でも……。 川に網を投げ入れる「投網(とあみ)」と呼ばれる漁です。 網の中にいるサケは1匹。 〈漁協組合スタッフ〉 「かかっても1本」 今年も、不漁……。 採卵サケの稚魚を育てる柏崎市の「さけ・ます増殖事業協会」です。 成長の度合いで分けられ、時期を見て採卵します。 〈鮭鱒増殖部会長 片山洋一さん〉 「向こうへ投げたのは筋子状態。腹が固い。筋子状態はまだ採卵できないから、腹が大きいものだけとりあえずあげている」 1匹あたりから取れるのは3000から4000粒。 不漁のため、確保できた卵は例年の半分です。 〈鮭鱒増殖部会長 片山洋一さん〉 「今54万粒だからさ。例年はこのくらいの時期になると100万粒くらいいってる。もう11月の終わりなのに」 2015年度、2万匹を超えるサケがとれていましたが、昨年度はおよそ1500匹と10分の1以下。 〈鮭鱒増殖部会長 片山洋一さん〉 「うちの場合は今までだと1日100匹くらいの量。今年は良くて30匹、40匹」 育てた稚魚は放流を支援する県や国が買い上げ、協会の運転資金となります。 不漁では買ってもらえる数も減少。 収入減につながります。 〈鮭鱒増殖部会長 片山洋一さん〉 「採卵したいけど魚がいない。うちのこの施設も老朽化して修繕や入れ替えがあるんです。でも、今のような不漁だと、収入がないから後回しになる」