全国梅干しコンクールでフィリピン出身の女性が日本一 義母から受け継いだ技…たゆまぬ努力で実を結ぶ
4年に1度開催される「全国梅干しコンクール」で去年、フィリピン出身の五藤アンジェリンさんが特別最優秀賞を受賞し、日本一に輝きました。結婚をきっかけに大分県日田市に移り住み18年。梅干しの作り方は義母(91)から学びました。 【写真を見る】全国梅干しコンクールでフィリピン出身の女性が日本一 義母から受け継いだ技…たゆまぬ努力で実を結ぶ ■母親もとれなかった最高の賞 九州有数の梅の産地、日田市大山町。40アールの畑で梅の収穫をするのはフィリピン出身の五藤アンジェリンさんです。結婚をきっかけに町に住み始め18年。梅干し作りと出会いました。 五藤アンジェリンさん 「美味しいのができたらうれしい。でも休みはない」 初めて出会った食べ物。しかも慣れない日本語を使っての梅干し作りは苦労ばかりでした。それでもあきらめず地道に続けた結果、ついに去年、「全国梅干しコンクール」で1600を超える応募の中から日本一に輝きました。 アンジェリンさんの夫、巳智也さん。巳智也さんの両親が梅農家を始め、畑では「七折」や「南高」など8種類の品種を育てています。今は梅の収穫の時期で、800本の木から実をひとつひとつ丁寧に摘み取ります。 巳智也さん 「梅干しを食べないのでわからないが…今回一番になりましたが、母親もとれなかった賞。すごく尊敬している」 ■受け継いだ技、次世代へ 道の駅「水辺の郷おおやま」では、甘酒やお茶漬けなど地元で作られた梅の商品やアンジェリンさんの梅干しが販売されています。 水辺の郷おおやま 森繁基さん 「五藤さんのところの梅干しは最近特に人気。昔ながらの梅干しが大山の梅干しで、そのど真ん中を行く梅干し」 大山町では現在、約200軒の梅の作り手がいますが、高齢化などを理由に年々減少。大山の味を残すためにもアンジェリンさんは梅作りに励みます。 五藤アンジェリンさん 「日本で初めて食べた時は『えー』と思ったけど、段々味に慣れた」 昔ながらの塩味が強い梅干し。日本一になったその味は、師匠である義理の母親、みつ子さん(91)から受け継いでいます。
みつ子さん 「生梅の立派なのを漬けるときれいな梅干しができる。(アンジェリンさんは)わかっちょるよ大概ね。20年近くなるがやっぱりうれしい。ちゃんとしてくれるき」 91歳になったみつ子さんは現役を引退。今はアンジェリンさんが1人で作り、将来は子どもに教わったことを伝えたいと話します。 五藤アンジェリンさん 「きれいな梅ができるとそれが楽しい。みつ子さんが今まで梅を頑張ってきたから、私の娘にも梅干しを作ってほしいと思っています」 日本一の梅干し。守り継がれていく「大山の味」には思いや技術も一緒に継承されています。
大分放送