【京都】プロ12年目GK太田岳志が曺貴裁監督を泣かせた 広島相手に完封勝ち導く神セーブ連発
<明治安田J1:広島0-1京都>◇第35節◇3日◇Eピース 京都サンガが4試合を残して、待望のJ1残留が見えてきた。 2連勝で勝ち点44に伸ばし、前節14位から13位に浮上。サンフレッチェ広島との敵地戦での勝利は26年ぶりで、相手を首位から陥落させた価値ある勝利だった。 立ちはだかったのは、プロ12年目のGK太田岳志(33)だった。 32歳だった昨季にJ1ビューを飾った遅咲きで、今季もわずか4試合目。しかも先発は半年ぶりで、守護神ク・ソンユンの出場停止で急きょ、巡ってきた出番だった。 前半だけで広島DF中野やFWパシエンシアの決定的なシュートを阻止。太田が神セーブを連発し、先制点を与えなかったことで、味方の後半の決勝点につなげた。 「首位の広島相手に、絶対ピンチは何回か訪れると覚悟していた。シュートも味方がコースをうまく狭めてくれたおかげで、僕としてもそこまで難しい対応ではなかった。チーム全員での勝利です」 ベテランは控えめに喜んだが、昨季のルヴァン杯でも好セーブ連発でセレッソ大阪、ガンバ大阪から1次リーグ3連勝をつかんだ。序列はチームで3、4番手であっても、常に手を抜かない練習姿勢を貫く。 だからこの日、曺貴裁監督(55)は、試合直後のインタビューで感極まった。 太田の活躍を聞かれて「まじめに生きていると、いいことがあるんだなというふうに教えられました」。 その心中を記者会見で再び聞かれると、指揮官は「僕が就任した時から、出場機会が多くなかった。感傷的というよりは感動した(から涙が出た)」と説明。 それを聞いた太田も「(監督が涙ぐんだ)みたいですね。僕は全然、知らなかったんですが…。1つ1つのプレーで人を感動させられるのは、選手冥利(みょうり)に尽きる」と真顔に返答した。 広島の無得点は約8カ月ぶり、今季2度目。広島に完封勝ちしたのは、この日の京都が今季初めて。一時は最下位に転落するなど苦しんだ京都だが、太田が監督を泣かせ、チームはさらに強くなった。 ◆太田岳志(おおた・がくじ)1990年(平2)12月26日、三重・桑名市生まれ。三重・暁高から大阪学院大を経て、13年に当時J2の岐阜に入団。東京V(J2)、富山(J3)を経て20年に当時J2の京都へ移籍。J1通算16試合、J2通算20試合、J3通算7試合出場。190センチ、84キロ。