東大理三出身・佐藤ママの長女が語る、母の教育「いい大学に行ってくれたら自慢できるという感情は母には全くなかった」
長女:確かに、私にも兄たちにも、友達のこととか、どこに行ってたの、とかあんまり聞かれなかったです。「これまでにこれをやろうね」とか要所要所ではきっちりしているんだけれど、塩梅が絶妙。 佐藤:そう。締めるところは締める(笑)。長男が生まれた時、子どもと私の人生は全然違うものだから、子どもが選んだものには何も文句は言うまい、と決めていたんです。親の欲や期待は捨てよう、って。 長女:子どもがいい大学に行ってくれたら自分が自慢できる、とかそういう感情は母には全くなかったですね。私たちきょうだい4人の経歴をみると、みんな全く同じような教育をされてきたように思われがちなんですが、私たち4人、全然性格が違うし、バラバラなんです。その中で一人一人に最適な接し方をしてもらったと思います。 佐藤:確かに、一人っ子が4人いる、という気持ちで子育てしてきました。 ――お兄さんたちが東大理IIIに行ったので、私は違う全く違う道、例えば芸術系とか体育系とかの道に行きたいな、と思うことはなかった? 長女:小さい頃は水泳、バイオリン、ピアノなどを習っていて、そっちの方向に才能があれば行っていたと思いますが、何もないことを自覚してしまったので。 佐藤:バイオリンはきょうだい皆がやっていたので、小4ぐらいで塾に入るまえに「バイオリンをもっとやりたい人いますか?」と聞いたりしたわよね。もしいたら専門の先生を見つけなきゃいけないと思って。でもみんな「遠慮します」って(笑)。 長女:幸か不幸かそちらの方面では何も能力がなかったので勉強するしかない、と思って。他にももし文系の科目が好きだったら文系の仕事に就いていたかもしれませんが、ゴリゴリの理系だったんです。あとは兄たちを見ていて、医者っていい仕事だな、と思ったのもありますね。 佐藤:そうね。同じ医者にはなったけれど、兄たちは臨床医になったり大学に残って研究をしていたり、いろいろだわね。あなたは今研修医でこれからどんな道を選ぶのか楽しみ。でも子育ては18歳までだと思っているので、私は子どもたちがどんな科を選ぼうが、どこに就職しようが、一切口を出すつもりはないです。
長女:振り返ると、本当に18年間は楽しかったですね。とても幸せな時間でした。小さい部屋で家族が肩よせ合ってみんなでゴロゴロ勉強したり、遊んだりしていた感じですね。大人になって上手くいかないこともつらいこともありますけど、過去の楽しかった思い出を糧に生きているって言ってもいいぐらいです。 ※後編<東大医学部を出て医師になった佐藤ママ長女が振り返る、母の“炎上”と受験生時代 「中学受験してよかったと思っている」>に続く (構成/教育エディター・江口祐子)
江口祐子