「心の部分がしっかりと成長した証し」鍵山優真 転倒挽回し300点超えで連覇
◆フィギュアスケート ▽グランプリ(GP)シリーズ 第4戦・NHK杯 最終日(9日、東京・国立代々木競技場) 男子フリーが行われ、鍵山優真(21)=オリエンタルバイオ・中京大=が194・39点で、ショートプログラム(SP)との合計300・09点で大会2連覇を達成した。壷井達也(21)=シスメックス=がSPの3位を守りGP初の表彰台。女子フリーは、SP首位の坂本花織(24)=シスメックス=が合計231・88点で優勝し、連覇がかかるGPファイナル(12月・フランス)行きを決めた。ペアでは三浦璃来(22)、木原龍一(32)組=木下グループ=が2位で、ファイナル切符を得た。 キスアンドクライで得点を見た鍵山は、少し悔しそうに顔をしかめた。合計300・09点は、今大会で掲げた目標「300点超え」を達成して2連覇。それでも「フリーで200点」は次戦以降に持ち越しとなり「300点は出せたけど、自分が思うような300点の出し方ではなかった」。今季2人目の大台も、自分に厳しく採点した。 SP1位から出た最終滑走。冒頭の4回転フリップで転倒した。気落ちしかねない失敗だったが、今大会は今季GP初戦。父・正和コーチの「自分に負けないように滑ってこい」との言葉を思い出し、その後の4回転サルコー、4回転―3回転の2連続トウループは、いずれも3点以上の加点を得る出色の出来栄えで挽回。「立て直しで気持ちが強くなった。心の部分がしっかりと成長した証し」と確かな収穫もあった。 22年北京五輪で銀メダル獲得後、翌シーズンに左足首を負傷。国際舞台から一時離れ、「自分の生活をいちから見直した」と睡眠は8時間以上など体調管理を徹底するようになった。一人暮らしの食事も、栄養バランスなどこれまで以上に意識。昨季復帰し、師事する14年ソチ五輪銅メダルのカロリナ・コストナーさん(37)=イタリア=が「彼が多くのことを学び、成長する時間だった」と振り返るように、アスリートとして一回り大きくなってカムバックした。 今季は2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪のプレシーズン。ミラノでは、世界王者イリア・マリニン(米国)との金メダル争いが期待される。鍵山は次戦、GP第5戦のフィンランド大会に出場予定。2連勝で、マリニンの待つGPファイナル進出に挑む。「今季から(五輪に向けた)勝負が始まっている。失敗を恐れず、どんどん攻めた演技をしていきたい」。2度目の五輪へ、進化を加速させる。(大谷 翔太) ◆鍵山 優真(かぎやま・ゆうま)2003年5月5日、横浜市生まれ。21歳。5歳から競技を始め、20年ユース五輪で金メダル。世界選手権は初出場の21年、22年、24年に銀メダル。初出場した22年北京五輪では男子シングル、団体ともに銀メダル。23年GPファイナル銅メダル。24年四大陸選手権優勝。父・正和さんは92年、94年の五輪2大会両代表で、全日本選手権3連覇の実力者。161センチ。
報知新聞社