BMWが高性能の “次期M3” 投入へ 欧州で「iM3」商標登録 4モーターEV、2027年頃発売か
M専用EVの利点と課題
興味深いことに、BMWの販売責任者であるピーテル・ノータ氏は9月のIAAモビリティで取材に応じ、EVのMモデルは現在のガソリン車と同じ名称を使用しない可能性を示唆するような発言をした。 「ノイエ・クラッセではベンチマークを設定し、現在M3またはM4と呼んでいるクルマの高性能バージョンも用意する予定です。Mも電動化を進めており、i4 M50とi7 M70の成功がそれを物語っています。つまり、Mは電動化した未来においてもブランドの中核であり続けるのです」 現行のi4 M50とi7 M70は、エンジン車のM4やX5 Mと同等の出力を持つが、「M」モデルというよりもむしろM440iのような「Mスポーツ」モデルとしての位置づけが強い。 MモデルのEVは、より専門性を高めたものになるだろう。ファン・ミールCEOは軽量化とM特有のダイナミクスを優先すると示唆している。 同氏は以前の取材で、EVは同クラスのエンジン車よりも本質的に重いとし、「軽量化技術への投資を続ける必要があります。わたし達はすでに多くのカーボンを扱っています。しかし、EVにはいくつか利点があります。例えば、遮音材の一部を取り除くことができますし、バッテリーの軽量化はエンジニアにとって興味深いことです」と語った。 こうした技術の一部は、すでに市販車で導入されている。 「XMのボディコントロールは、重心がとても低いため驚くべきものです。スプリングやダンパーを柔らかくしても、ロールが発生しないのです」
レースで培った技術を市販車へ
BMWのモータースポーツ活動を通じて開発された技術の応用も期待される。新型のLMDhレーサーはハイブリッド化されたV8を搭載している。パワートレインは同一ではないが、ファン・ミールCEOは同車の開発が今後の市販車開発に役立つとしている。 「長距離レースとドライブトレイン技術が密接に関係していることはおわかりいただけるでしょう。(LMDhの)プロトタイプでは、空力から冷却まで多くの教訓を得ることができました。また、V8ハイブリッドのドライブトレインはXMに搭載されたものとリンクしています」 「エンジニアたちが本当に気に入っているのは、ドライブトレインに電動化されたコンポーネントを組み込めば、トルクと馬力のコントロールが内燃エンジンよりもはるかに優れ、速く、簡単になることです。特にレースにおいては」
フェリックス・ペイジ(執筆) 林汰久也(翻訳)