種田山頭火賞受賞の伊集院光「次のバイトの面接で“山頭火賞をもらった”と書ける」
「第7回 種田山頭火賞 授賞式」が10月15日、都内で開催され、俳優、ラジオパーソナリティーなど幅広い分野で活躍するタレントの伊集院光に賞が授与された。 同賞は2018年に種田山頭火の全集や書籍を多く刊行してきた株式会社春陽堂書店が創業140年の記念事業として創設。漂泊の俳人と呼ばれた山頭火のごとく「信念をもって自分の道を歩み、周囲に大きな感動を与えた」文化人や表現者に贈られるもので、過去6回では麿赤兒、伊藤比呂美、確井俊樹、夏井いつき、ロバート・キャンベル、桃井かおりの6氏が受賞している。 受賞者には山頭火の俳句が書かれた書が送られるのだが、今回、伊集院に送られたのは「宿まで かまきり ついてきたか」という句。これは伊集院が選んだものなのだが司会者によると「博識の方が選ぶもの」とのこと。 今年も評論家の山田五郎氏と作家の中江有里氏が選考委員を務めた。
伊集院は「ちゃんと研究して山頭火の人となりなどを理解しているわけではないんですが、何となく好きで。それこそ一人旅が好きで、その時に持ち歩いて旅先で読むことが多い。先週も大分でイベントの仕事があって、僕は基本的に現地入り現地バレ。ふらっと入って、ふらっと出る。そこでうろうろしては、山頭火気取りというんですかね。いろいろなものを見ながら感じたことをメモったりして楽しんでいます。僕の場合は性格的な問題もあって普通に孤独なんですが、山頭火は孤高。孤高と孤独はかなり違うんですが“自分ももしかしたら孤高なんじゃないか”と勘違いすることで自信が持てますので、今回いただいた賞を胸に秘めて“俺は孤独じゃない。孤高なんだ”と思って勘違いして生きていきたい」などと受賞のスピーチ。
山田氏は選考理由として「私の中でのポイントは“飄々”という言葉。種田山頭火は世俗を離れて生きた人。ある意味、飄々としていて当たり前のところもある。伊集院さんの場合は芸能界という世俗中の世俗の中にあって、飄々としている。芸能界のようなしがらみにとらわれることなく、20年以上ずっと変わらない。同じスタンスで飄々と生きている」などと伊集院の生き方を挙げた 中江氏は山頭火の「わかれてきた道がまっすぐ」という句を挙げ「これは山頭火が放浪を繰り返し、ある時、振り返った自分の人生がでこぼこの道かと思いきや、意外に真っ直ぐであったという意味合いがあると聞いているんですが、私は伊集院さんを思い浮かべるとこの句がぴったりだと思う」などと山頭火との共通点を挙げた。