「乳がんの経験も笑いに変えられたら自分は前を向ける」小川恵理子がユーモアを交えてつらい経験をつづる本当の理由
だから、今度は私が困っている方たちの力になりたいと。私の言葉で少しでも力をもらえると感じる方がいるなら、その方がまた次の人の力になるときが来ると思うんです。励ましのバトンのように、次の人に「光のバトン」を渡していくのも、もしかしたら私のひとつの使命なのかもしれないなと、最近よく考えるんです。 ── なぜそこまで思えるのでしょう。 小川さん:もともとタレントの仕事は、明るさや元気、笑いを前面に出すものなので、「かわいそう」とか「気の毒だな」と思われるのは、正直なところ少し抵抗がありました。でも、「note」を書いているうちに、このつらい経験も笑いに変えられたら、自分は前を向けるし、見てくださる方にも希望を感じてもらえるんじゃないかなって。
やっぱり皆さんが笑ってくれることが何より嬉しいんです。つらい経験も、笑いに変えられたら「こっちのもんだ」って。そういう姿を見せることで、同じ経験をしている人の力になれたら、それが私にとっての光のバトンになるんじゃないかって思うんです。
■ネガティブな情報の沼にハマりたくない ── 闘病中、ご家族からはどのようなサポートがありましたか。 小川さん:私、夫と2人暮らしなんですけど、本当に支えてもらいました。お恥ずかしい話、私は泣き虫なのでよく「うぇーん」と泣いてしまうんです(笑)。夫は寡黙な人なのですが、何も言わなくても背中をそっと撫でてくれたり、「背中をとんとんしてくれぇ」と言うと、黙ってとんとんしてくれる。そういうふれ合いがすごくありがたかったですね。
── そういう気持ちをちゃんと伝えられるのは素晴らしいですね。 小川さん:でも、言えない人もたくさんいると思うんです。だから、周りの人はさりげなくタッチしてあげるのもいいかもしれません。ふれ合うことで言葉以上に気持ちが伝わることもあるんじゃないかなと感じますね。 ── お姉さまも同じ乳がんをご経験されていらっしゃるとのことで、相談されることも多かったのでしょうか。 小川さん:そうですね。姉は10年前に乳がんを経験していて、最初から相談していました。私が病院に行くときはいつもついてきてくれたんです。特に印象に残っているのは病院の待合室でのこと。待合室はそれぞれ皆さん思いを抱えていらっしゃるため、どうしてもつらい空気になりがちですよね。私も最初は不安で胸がいっぱいでした。ただ、姉が側にいてくれたおかげで気持ちがやわらぎました。