米「大物GM」が視察も“ふがいない投球”…ロッテ「佐々木朗希」今オフのメジャー挑戦にくすぶる“不安要素”
成長が見られない
ヤングGMは元MLB投手で、与四球の多いタイプだった。ストライクを取りに行った甘いボールを打たれて大炎上した経験もあれば、粘り強く投げて最少失点に止めた試合も少なくない。そんな制球難を克服してきたGMの眼に、この日の佐々木がどう映ったのかが気になるが、メジャースカウトたちは別の観点からも佐々木を見ていた。 「スカウトの間では、グラウンド外のことも話題になっています。昨年オフ、早期のポスティングシステムによるMLB挑戦の意向を明らかにして以来、日本国内で『球団に恩返しをしてから行くべき』といった声が多く出始めました。当初、スカウトたちは期待の裏返しと見ていましたが、スタンドで佐々木の降板がアナウンスされる度に聞かれるファンのため息が気になると話していました」(前出・米国人ライター) スカウトたちは、スタンドにいるファンの厳しい声も感じ取っていたという。昨季も佐々木が途中交代すると、ため息は聞かれた。しかし、それは「もっと見たかった」という好意的なものだったが、今季は批判的な雰囲気に変わった。 「成長が見られないからですよね。毎年、シーズン途中に蓄積疲労で先発ローテーションを外され、100球前後で交代となります。今年も去年と変わらないから、日本のファンもヤキモキしているんだと思います」(前出・同) 体力面での不安は一向に解消されていない。そのため、スカウトたちは「佐々木に伸びしろが残っているのか」という観点でも見るようになったという。 「体力面での不安が解消されない原因を探るためですが、佐々木の練習環境に関する情報も集めるようになりました」(ア・リーグ中部地区スカウト) 基礎や反復どれくらい丁寧にやっているのか、練習の様子を探る一環だろう。吉井監督を始めとするロッテ首脳陣の佐々木評にも眼が向けられるようになった。「危険球退場」となった15日の試合後の吉井監督だが、ピッチング内容そのものについては何も言っていない。しかし、前回登板の東北楽天戦後(8日)では、 「朗希は5回(降板)じゃダメですよ。今日は真っすぐがシュート(回転を)してコントロールできなかったみたいで、凄く苦労していました」 と、辛らつなコメントを発していた。吉井監督の言う通りなのだが、15日の不甲斐ないピッチングの原因は、この楽天戦にあった。 「8日の最速は159キロ、160キロには届きませんでした。スライダーが全投球の半分くらいを占めていたと思います。変化球でかわす逃げのピッチングになってしまいました。初回からヒットと2四球で満塁と攻め立てられ、先制点を許し、5回を投げ終わった時点で98球に到達していました。3失点で収まり、本当に良かった」(前出・スポーツ紙記者) 味方打線の援護に恵まれ、8勝目が転がり込んだものの、ファンは球速160キロ強の剛速球で相手バッターをねじ伏せるイメージも抱いている。佐々木は変化球で逃げることしかできなかった反省から、15日は力みすぎてしまった。 8日の試合後、吉井監督は「真っ直ぐが操れていなかったと思います。シュートしてコントロールできなかったので、すごく苦労していました」と総括していた。ストレートがピッチングの生命線であることは佐々木も分かっているはず。次回登板までにそれが修正できなかったということは、まだ独り立ちができていないのだろう。 「今季から調整を佐々木自身に任せています。ストレートが走っていないときはどういう練習をすればいいのか、まだ本人も分かっていないのではないでしょうか」(前出・同)