井上尚弥の前座は注目カード目白押し ー見応えがある中量級
9月3日に東京・有明アリーナで行われる井上尚弥(大橋)防衛戦。メインの井上-TJ・ドヘニー(アイルランド)は当然として、この日はどのカードも見ごたえがあるとファンを喜ばせている。 世界タイトルマッチは井上戦ともうひとつ、武居由樹(大橋)-比嘉大吾(志成)のWBO(世界ボクシング機構)バンタム級戦。パンチャー同士の必殺KO戦は近年の日本人対決でも屈指のスリルを提供するに違いない。ほかにも、日本スーパーバンタム級王者の下町俊貴(グリーンツダ)、OPBF&WBOアジアパシフィック・ウェルター級王者の佐々木尽(八王子中屋)とホープたちが出場する。
中量級平岡アンディの挑戦
世界戦に準じた試合も開催される。イスマエル・バロッソ(ベネズエラ)と平岡アンディ(大橋)によるWBA(世界ボクシング協会)スーパーライト級挑戦者決定戦だ。両者にとって世界タイトルマッチ出場をかけた重要な試合であるだけでなく、勝負を占うおもしろさが十分ある。ここでは、この一戦にフォーカスしよう。 平岡はガーナ人の父と日本人の母を持つ28歳。180センチの長身を生かしたシャープなボクシングでここまで23戦全勝(18KO)のレコードを誇る。アメリカの大手プロモーション、トップランクと契約してラスベガスのリングも経験済みだ。日本から世界をうかがう中量級のサウスポーである。 ちなみにアマチュアボクシングでパリ五輪に出場した岡澤セオン(INSPA)も父親がガーナ人だが、アンディとセオンには実際に交流があるという。 横浜生まれのアンディがグローブを手にしたのは4歳の時だ。中学、高校は陸上で活躍し、国体にも出場した。横浜高校在学中に花形ジムからプロデビュー。東日本新人王を獲得後、アメリカに修行に出る。現地での体験は平岡に大きな影響を与えた。世界チャンピオンの大志を抱き、帰国後は大橋ジムに移籍して再び全勝ロードを駆けていく。 日本ユース王座から日本王座にステップアップし、同時にWBOアジアパシフィック王座も守り続け、世界に飛び出すチャンスを待っていた。昨年の出番は1試合のみだったが、この間も父親のジャスティス・トレーナーと積極的に海外へ出かけて腕を磨いていた。父の祖国ガーナでは元世界フェザー、ジュニアライト級王者のアズマー・ネルソン氏からアドバイスを受けた。ネルソン氏はアフリカ最高の戦士と名高い元名チャンピオンである。また今年春に滞在したイギリスでは世界上位の実力者ジャック・カテラルとスパーリングをし、ダウンを奪って周囲を驚かせたという。