「掃除が苦手だったのが嘘のようだ」多忙な夫婦の掃除事情を激変させた"ロボット掃除機"ではない救世主
■勝手に掃除してくれるとはいえ、万能ではない 2022年3月22日配信、日本経済新聞電子版「ロボット掃除機、7年ぶり販売減 売れ筋スティック型に」を見てみよう。調査会社GfKジャパンのデータで、2021年の国内掃除機販売台数のうちロボット型の販売台数は、前年比4パーセント減の約48万6000台で、スティック型は3パーセント増の約413万1000台。在宅勤務中にロボット型がうるさい、と不満を漏らす20代女性のコメントを紹介している。増えたのは、キャニスター型からスティック型のコードレスタイプに買い替える人だ。 そもそもロボット型は勝手に掃除してくれるとはいえ、万能ではない。 まず、床に置いたモノが多い部屋では、自走できる範囲が限られる。階段では使えないため、2階以上ある一戸建てやメゾネットタイプのマンションでも不便だ。普及を妨げているのがおそらく、段差や障害物に弱い自走式の特徴だ。 音については、メーカーが静音化を図っているが、音に対する感受性の個人差もあるので、上記のように不満を抱く消費者もいる。機動力の点でも、先に挙げた知人のように不満を持つ人がいる。 アイロボット社のウェブサイトでルンバの進化を確認すると、カーペットでの吸引力を上げる、キッチンなど狭い場所でも使える、自動でゴミを排出する、床拭きもするなど、どんどん性能が向上し、よりきめ細かく使えるようになってきたようだ。完璧でないとはいえ、自分が手を動かさないで済む時間が増えるのは、ありがたいと言える。 ■2010年代にスティック型が伸び、コロナ禍で多数派に 今度は人気の変遷について、いくつかの記事で確認してみよう。スティック型掃除機が登場したのは1987年だが、2010年頃まで1人暮らしなど狭い部屋で使うイメージが強く、キャニスター型が一般的だった。先の毎日新聞記事に掲載されたGfKジャパンのデータによると、2010年はキャニスター型の販売数量が73パーセントを占めたのに対し、スティック型は12パーセントだったが、2016年はキャニスター型が46パーセントに落ち、スティック型は32パーセントに伸びていた。 「産経WEST」2022年9月10日配信記事「ボーイングの廃材利用も スティック型掃除機の競争激化」では、日本電機工業会調査で2020年にスティック型の出荷台数がキャニスター型を超えた。インターネット調査会社のマイボイスコムが2023年8月に実施した「掃除機に関するアンケート調査(第8回)」では、所有する掃除機はスティック型が47.9パーセントでキャニスター型の紙パック式が41.7パーセントと割合が逆転している。大まかに言えば2010年代にスティック型が伸び、コロナ禍で多数派になった。ロボット掃除機はどうかと言えば、同アンケート調査で2011年が2パーセント、2023年が9.9パーセント。順調に伸びてはいるが、まだシェアを競うほどではない。