縮小する投資…韓国大企業の68%が「来年の計画なし、または立てられない」
韓国首都圏に位置する半導体装備企業A社の経営陣は週1回の会議を最近は2日に1回に増やした。米国の第2次トランプ政権発足を控え来年の経営戦略を修正するためだ。経営陣は一様にトランプ氏が就任する来年1月以降に中国に対する制裁レベルがさらに強まるとみている。 売り上げのうち中国の割合が60%水準であるこの会社の立場では圧迫が大きい。中国依存度を減らし米国や欧州の割合を拡大する案を苦悩中だがこれといった戦略を見つけられずにいる。この会社の関係者は「昨年から中国からの受注が大きく増え供給速度がこれに追いつかない状況で設備を追加しようとしたが保留してひとまず見守ることにした」と話した。 内外で経済不確実性が大きくなり企業の投資が萎縮している。保護貿易主義が強まる状況で世界的に経済見通しが不透明な上に内需市場は沈滞し国内投資環境も悪化した影響だ。 韓国経済人協会が世論調査機関であるモノリサーチに依頼して売上額上位500社を対象に来年の投資計画を調査した結果、68%が来年の投資計画がない、または未定と答えた。まだ投資計画を立てられずにいる企業は昨年の55%より13ポイント増えた。それだけ内外の経済状況を予測しにくいという意味だ。最初から投資しなかったり縮小するという企業は昨年の2倍水準に増えた。投資計画がないという企業は11.4%で昨年調査時の5.3%より多かった。投資を縮小するという企業は28.2%で昨年の10.2%より大きく増えた。 企業が投資計画まで迷う最大の理由は不確実性だ。トランプ氏の大統領就任後に関税を前面に出した米国の自国利益中心の通商政策が強化され対中圧力レベルも高まるならば韓国企業も打撃を受けるほかない。2日に米国の対中輸出統制対象品目に広帯域メモリー(HBM)が含まれ半導体業界がパニックだ。半導体業界関係者は「米国の顔色をうかがうなら中国への輸出を中断しなくてはならないが、これに伴う損失を埋め合わせる方法がない」と吐露した。 内需市場が良い状況でもない。実際に企業は投資規模を減らしたり投資をしない理由として「否定的な内外経済見通し」(33.3%)と「内需市場萎縮の見通し」(16.0%)を挙げた。 「国内投資環境が劣悪」(20.0%)という指摘も出る。支援はなくむしろ規制だけ強化されているということだ。国会に発議はされたが遅々として進まない半導体特別法と野党が党論として推進している商法改正案が代表的だ。補助金など財政支援の根拠と週52時間勤務制適用除外など半導体業界を支援できる案を盛り込んだ半導体法は与野党対立で常任委員会も通過できずにいる。 理事忠実義務対象を「会社」から「株主」に拡大する案を盛り込んだ商法改正案は16社の社長団が集まり緊急声明を出すほど反対が出ているが、依然として推進中だ。韓国経済人協会のイ・サンホン経済産業本部長は「経済が厳しい時に危機克服のカギになったのは企業の投資なのに現在は企業が投資を拡大する動力を得にくい状況。金融・税制支援のようなインセンティブで積極的に投資を誘引し経営不確実性を拡大する規制は控えなければならない」と話した。