韓国・尹錫悦政権が「石破自民」の大敗にがっくり、「反韓政治家」野田代表率いる立憲の躍進にはピリピリ
■ すでに決定している日韓協力事業に影響出るか 韓国メディアは、石破首相の党内の立場が悪化したことで、日韓間の協力事業にも支障が出るのは避けられないと見ている。最も急がれる問題は、来月に予定されている佐渡鉱山の労働者のための追悼式の出席者協議だ。 日本政府は、佐渡鉱山のユネスコ文化遺産登録の反対給付として、佐渡鉱山に動員された朝鮮人労働者をはじめとするすべての労働者のための追悼式を毎年開くことで韓国政府と合意した。韓国政府は最近まで、日韓両国がこの追悼式に首脳を参加させる案を含め、日本政府と議論を続けてきた。 しかし、選挙惨敗で立場が不安定になった石破首相が出席するのは難しいと予想される。複数メディアの報道によると、韓国側は日本に政務官級以上の出席を要請したというが、もしも出席者のレベルが韓国の要請より低い場合は韓国メディアの反発が予想される。 また来年の日韓国交正常化60周年をひかえ、尹錫悦政権が野心的に推進している「小渕-金大中宣言2.0」の実現可能性も予測できなくなった。尹錫悦大統領は候補時代から日本との関係修復を公約に掲げ、「自由民主主義と市場経済の価値を共有する隣人として、公営の未来に向けた新しいビジョンを盛り込む『金大中小渕宣言2.0』」を提示した。これは1998年、小渕恵三日本首相と金大中韓国大統領との首脳会談の声明文で、「韓日両国間の不幸な歴史を克服し、未来志向的な関係を発展させよう」という「21世紀の新しい韓日パートナーシップ共同宣言」を指す。 尹錫悦政権発足以来、12回もシャトル外交を続けて緊密な関係を築いてきた岸田文雄首相の後任として石破氏が選出された時は、韓国政権の期待は大きかった。それが、日韓国交正常化60周年となる来年10月まで石破氏が首相職を維持できるかどうかは断言できない状況になったのだ。
■ 急速に広まる「高市氏台頭」への警戒感 弱り目にたたり目で、自民惨敗の影響により、安倍路線の継承を謳う高市氏が次期総裁に浮上する可能性を警戒する声もあがっている。 「旧安倍派をはじめとする党内保守勢力を中心に『石破おろし』が繰り広げられる可能性もある。自民党総裁選の第1回投票で1位だったが、決選投票で石破首相に敗れた高市早苗元経済安保担当相が“ポスト石破”候補として取りざたされている。彼女は太平洋戦争のA級戦犯が合祀された靖国神社を定期的に参拝している極右性向の政治家である」(『京郷新聞』10月29日記事「日本の連立与党、15年ぶりに過半数割れ…石破氏、就任から1カ月で崖っぷちに」)。 「(強硬保守の)高市元経済安保相が政局の主導権を握ることになれば、日米関係に大きな影響はないだろうが、韓日関係はギクシャクする可能性がある」(申珏秀元駐日大使、コメントの出典は『朝鮮日報』) 「今すぐ強硬右翼とされる高市早苗元経済安保相が牽制を始めるだろう。(石破首相が)自民党内の保守派の顔色をうかがわなければならない状況であるだけに、韓日関係に新たなモメンタムを作ることは容易ではないだろう」(朴ヨンジュン国防大学教授。コメントの出典は『ソウル経済』)