GIGA端末更新で新たな地域格差?どうなる教育DX 共同調達で期待される底上げ、校務DXも課題
GIGA端末の更新、「共同調達」のメリットとは?
GIGAスクール構想により公立の小中学校で1人1台端末が整備され、3年が経過した。今年度からは1人1台端末の更新が始まり、GIGAスクールは第2期、いわゆる「NEXT GIGA」へと突入している。ICT活用に関する自治体間格差、学校間格差が指摘される中で、文部科学省は「NEXT GIGA」ではその解消をどのように図ろうとしているのか。また教育委員会や学校現場はどのような意識で臨めばいいのか。全国各地の教育DX推進のコーディネーターを務める、一般社団法人教育ICT政策支援機構理事の谷正友氏に話を伺った。 【写真】文科省が掲げる「教育DXに係るKPI」とは? ――GIGAスクール構想で導入された1人1台端末は、今年度から順次更新時期を迎えます。GIGAスクール構想第2期、いわゆる「NEXT GIGA」のスタートです。 第1期では多くの自治体が、端末の調達を市町村単位で実施しました。これに対して第2期では、都道府県単位で共同調達会議を設置し、端末の整備・更新を一括で行うことが義務づけられている点が大きな特徴です。 共同調達の狙いは、スケールメリットによるコスト削減とともに、調達会議での議論や情報交換を通じて、都道府県内全体の底上げを図っていくことにあります。 会議には域内の各市町村が参加し、ICTの活用によってどのような教育を実現したいかというビジョンや、そのために必要となる端末のあり方を検討したうえで、調達すべき端末を選定していきます。 その過程では、ほかの市町村がこれまで端末をどう活用してきたか、今後どう活用していきたいかといったことの共有化が不可欠になります。こうした中で他市町村の先進的な取り組みを知ることができ、全体的な底上げが期待できるわけです。 ――以前は奈良市教育委員会にお勤めでしたが、奈良県ではすでに第1期の時点で共同調達を実現していましたよね。 はい。今回文科省が端末調達についてのガイドラインを策定するにあたっては、奈良県の先行事例をかなり参考にしたと思います。 奈良県には、40の学校設置者があります。自治体によって、目指している学びの姿や、取り組みの内容は当然異なります。一方で、どの自治体においても、ICTを教育に活用していくうえで共通に重視すべきこともあるはずです。 奈良県の場合は、どの学校設置者も「住んでいる場所や家庭の状況などにかかわらず、すべての子どもが同じ環境で教育が受けられるようにすること」に同意しました。これを踏まえてGIGAスクール構想の推進に適したOSを選択するよう県が促した結果、大多数の学校設置者がChromebookを調達する結果となりました。 これにより、例えば子どもが引っ越しをしても、県内であれば同じICT環境で学習に取り組めるというメリットが生まれました。また、クラウド活用のノウハウも蓄積しやすくなるほか、個々の自治体の予算では設置が難しい運営支援センターを開設することができ、現場の教員が専門的なサポートを受けられるようになりました。