【夏の独自取材】ユーシーシーコーヒーアカデミー「幻のコーヒー(リベリカ種)」の魅力と飲み比べ
日本安全食料料理協会(JSFCA)認定のコーヒーソムリエKazuです。
みなさんは、生産量の極めて少ない「リベリカ種」というコーヒー豆の品種をご存知でしょうか。
そのリベリカ種について、筆者はなんと「UCCコーヒーアカデミー東京校」講師・大澤様と広報様にお話を聞かせていただく機会がございました。
今回ご紹介するのはフィリピン産の「アラビカ種」と「リベリカ種」のコーヒー豆です。実はフィリピンでもコーヒーの栽培が行われており、リベリカ種は”幻のコーヒー”とも言われているのです。
本記事では「UCCコーヒーアカデミー東京校」で開催されたセミナーの内容を一部をご紹介しながら、筆者がフィリピン産「アラビカ種」と「リベリカ種」を実際に飲み比べを行いましたので、併せてご紹介します。
本セミナーについて
本セミナーは、UCCコーヒーアカデミーと一般社団法人「国歌の輪」が協働し、2019年から開催している各国大使館と展開している共催セミナーです。
コーヒーの試飲については、UCCコーヒーアカデミーの講師大澤様が抽出をし、当日はカップに注ぎ提供されました。
生産国を特定した1DAYセミナーを定期的に開催しているという中で、フィリピン大使館を招き、今回が8回目の開催となりました。
フィリピン共和国の概要
正式名: フィリピン共和国 Republic of the Philippines
面積 :298,170平方キロメートル(日本の約8割)。7,641の島々 人口 1億903万5,343人(2020年フィリピン国勢調査)
首都 :マニラ(首都圏人口約1,348万人)(2020年フィリピン国勢調査) 民族 マレー系が主体
言語:フィリピノ語、公用語はフィリピノ語及び英語
宗教 :ASEAN唯一のキリスト教国。国民の83%がカトリック
通貨 :フィリピンペソ(PHP) 1ペソ=約2.5円(2023年6月)
GDP:成長率 2022年 7.6%
政治体制:フェルディナンド・マルコス大統領 2022年就任(任期6年、再選禁止)
その他の情報:バタンガス州リバ市がコーヒーの首都とされている
フィリピンコーヒーの歴史
・1880年
ブラジル、アフリカ、インドネシア(ジャワ)などでコーヒーさび病が蔓延。フィリピンが世界で唯一のコーヒー供給国となる
・1889年
さび病や害虫がフィリピンを直撃し、被害が深刻化
・1950年
免疫力のある品種が栽培され、生産量が立ち直る
・1980年
フィリピンがICO国際コーヒー機関に参画
コーヒーの「3大原種」とは?
コーヒー豆の品種は、アラビカ種、カネフォラ種(ロブスタ種)、リベリカ種があり、「3大原種」と言われています。
アラビカ種は、世界全体でもっとも多く生産されている高品質のコーヒー豆です。標高約900~1500mの高地で育ち、200以上の品種が存在します。原産地はエチオピアです。
病害虫や乾燥に弱く、収穫量が少ない傾向にありますが、高品質でおいしいコーヒーをお楽しみいただけます。
カネフォラ種(ロブスタ種)は、標高1,000m以下の低地で栽培されているコーヒー豆です。原産地はコンゴと言われています。
病害虫に強く、収穫性の高いです。特有の苦味があり、インスタントや缶コーヒーに使用されることが多いです。
リベリカ種は、低地での栽培が可能なコーヒー豆です。流通量が非常に少なく、世界の流通量では1%に満たないため、市場にはほとんど出回っていません。
原産地はアフリカ西海岸のリベリア共和国です。フィリピンやマレーシアなどで栽培されています。
バラココーヒーとは?
フィリピンで希少なコーヒー豆(リベリカ種)として知られています。「バラコ(Barako)」は、別名“Kapeng Barako”とも言われ、現地の言葉で「強い」を指します。
苦味が強く、特有のスパイシーな香りが特徴です。
主にバタンガス州やカビテ州の農園で生産されています。しかし、希少な品種で流通量は非常に少ないです。
UCCコーヒーアカデミー東京校講師・大澤様のコメント
本セミナーについて、UCCコーヒーアカデミー東京校講師の大澤様と広報様に素敵なコメントいただきました。
UCCコーヒーアカデミー東京校講師・大澤様のコメント
UCCコーヒーアカデミーでは、コーヒーにちょっと興味を持った方から、スキルアップを目指す方まで、経験度や目的に合わせたセミナーを多数展開しています。
私自身コーヒーの魅力を多くの方々にもっと知っていただきたいと思いを募らせていた中で、生産国内でしか飲まれていないコーヒーに興味がわき、今回のようなセミナーを開催する運びとなりました。
コーヒーを生産する70数か国全てを取り上げていくことで、私の中での興味に留めておくだけなく、みなさんと共にコーヒーの楽しさを開拓していければと思っています!
https://www.ucc.co.jp/academy/instructor/
広報様のコメント
UCCグループは、「より良い世界のために、コーヒーの力を解き放つ。」を私たちの存在意義として掲げています。
これからもお客さまの、そして、これからコーヒーを好きになる人のために、コーヒーを通じて笑顔と幸せなひとときをお届けする活動をしてまいります。
セミナーに参加された方の感想
・滅多に飲めない、貴重なものを飲めた。
・アジアでこんなに美味しいコーヒーを生産しているって知らなかった。
・毎回この大使館セミナーを楽しみにしている。
フィリピン産コーヒーの飲み比べ
今回は、コーヒーソムリエの私が以下のフィリピン産アラビカ種とリベリカ種のコーヒーについて飲み比べを行いました。
フィリピン産
・アラビカ種(ハイロースト)
・アラビカ種(フルシティー)
バラココーヒー
・リベリカ種(ハイロースト)
・リベリカ種(フルシティー)
UCCコーヒーアカデミー講師の味覚感想
1.アラビカ種(ハイロースト)
→ミルクチョコレート
2.アラビカ種(フルシティ)
→ダークチョコレート、ブラウンシュガー、カカオ、メープル
3.バラココーヒー リベリカ種(ハイロースト)
→クローブのようなスパイシーさ、プラムのような甘み
4.バラココーヒー リベリカ種(フルシティ)
→クローブのようなスパイシーさ、プラムのような甘み、ブラックプラムやチェリーを感じられる
・ハンドドリップ1回目のレシピ(メリタ)
コーヒー豆:8g(1杯分)
粒度:中細挽き
ドリッパー:メリタ1×1陶器フィルター
ペーパーフィルター:カナエ紙工(台形1~2杯用 無漂白 ブラウン)
お湯の量:約140ml(お好みで調節してください)
お湯の温度:沸騰してから20〜30秒経過した90度前後(お好みで調節してください)
1度目は、メリタ式の1杯分である8gでハンドドリップします。
・ハンドドリップ2回目のレシピ(ボンマック)
コーヒー豆:10g(1杯分)
粒度:中細挽き
ドリッパー:bonmac (ボンマック) コーヒー ドリッパー メジャースプーン付き 1~2杯用 CD-1B
ペーパーフィルター:カナエ紙工(台形1~2杯用 無漂白 ブラウン)
お湯の量:約160ml程度(お好みで調節してください)
お湯の温度:沸騰してから20〜30秒経過した90度前後(適温92~96)
1.アラビカ種(ハイロースト)
ハンドドリップ開始(メリタ陶器フィルター)
蒸らし(30秒
蒸らしは約30秒行い、炭酸ガスが抜けるまで待ちます。
ドリッパー上部まで一気に注ぐ
お湯をメリタ陶器フィルター1×1の中央に向けて一気に注ぎます。
メリタは「の」の字を描く必要はなく、抽出速度はドリッパーによってコントロールされるため、安定した速度で淹れられます。
ボンマックを使用したハンドドリップ
ボンマックを使用したハンドドリップは、蒸らしが約20秒ほど、中心から小さく円を描くように、数回に分けて1杯分あたり160ml程度のお湯を注ぐことが推奨されています。
ドリップコーヒーの完成「アラビカ種(ハイロースト)」
今回は、メリタ陶器フィルター1×1を使用し、2分45秒程度で抽出しました。2回目のボンマックのドリッパーも2分45秒程度で抽出しました。
【アラビカ種(ハイロースト)の感想】
個人的な感想は、次のとおりです↓(5つ星評価)
酸味:★
苦味:★★
コク:★★
甘味:★★★
草や土のようなアーシーな香りを感じられます。
味わいについては、香ばしく、ほどよい苦味とミルクチョコレートのような甘味が印象的です。
全体的には、バランスがとれて、飲みやすく、ほどよいコクのあるあっさりした美味しいコーヒーです。
ホット・アイスどちらも楽しめます。
2.アラビカ種(フルシティ)
メリタ陶器フィルター
ボンマック陶器ドリッパー
【アラビカ種(フルシティ)の感想】
個人的な感想は、次のとおりです↓(5つ星評価)
酸味:★
苦味:★★
コク:★★
甘味:★★★
アラビカ(浅)と同様に土のようなアーシーな香りが部屋中に広がります。
味わいについては、ダークチョコレートのようなほどよい苦味とブラウンシュガーのような甘味、冷めると、わずかな酸味が印象的です。
アラビカ(浅)と比較すると、苦味と甘味の印象が強いですが、バランスの良い、飲みやすいコーヒーです。
ホット・アイスどちらも楽しめます。
3.リベリカ種「バラコ浅」(ハイロースト)
メリタ陶器フィルター
ボンマックドリッパー
【リベリカ種「バラコ浅」(ハイロースト)の感想】
個人的な感想は、次のとおりです↓(5つ星評価)
酸味:★
苦味:★★
コク:★★
甘味:★★
アラビカ種と同様、アーシーでバターのような香りを感じました。
味については、浅煎りであっても酸味はほとんど感じられず、スパイシーでナッツのような香ばしさとやわらかい苦味のある味わいです。
ホット・アイスどちらも楽しめます。
4.リベリカ種「バラコ深」(フルシティ)
メリタ陶器フィルター
ボンマックドリッパー
【リベリカ種「バラコ深」(フルシティ)の感想】
個人的な感想は、次のとおりです↓(5つ星評価)
酸味:★
苦味:★★
コク:★★
甘味:★★★
リベリカ種(フルシティ)は、果実のような甘い香りと、アーシーでバターのような香りも感じられます。
味わいについては、ナッツのような香ばしさとメープル・カラメルのような甘味、ほどよい苦味が印象的です。
酸味控えめでバランスの取れたコーヒーとなっています。
ホット・アイスどちらも楽しめます。
まとめ
今回は、フィリピン産のアラビカ種とリベリカ種のコーヒーを飲み比べさせていただきました。
リベリカ種については、経験したことのない香ばしく、バターのような香りを感じました。
ドリッパーを2種類使用したことで、味の違いとしては「メリタ陶器フィルター」の方がクリアでやわらかい味わいになったのに対し「ボンマックドリッパー」は、しっかりとしたコク深いコーヒーを抽出できたという印象です。
大きな差はなく、わずかに違いを感じられました。
どちらのドリッパーでも美味しいコーヒーを抽出できました。
上記の記事を参考にしながら、コーヒーライフの第一歩につながれば幸いです。
※記事内の情報は執筆時のものになります。コーヒー豆はご提供いただいております。
※記事の内容は個人の見解を含みます。
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