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吉田徹

吉田徹

認証済み

同志社大学政策学部教授

報告

解説大変に重いテーマだが、どの先進国でも多死社会をこれから迎える中で避けて通れない議論だ。フランスでは、先の解散で法案は見送りになったが、抽選で選ばれた市民が討議を通じて、条件付きの自殺ほう助を認めることを決定した。2022年には、ゴダール監督がスイスで自殺ほう助でもって終末を迎えるなど、近隣諸国では実質的に可能な国もある中で判断しないわけにはいかなっただろう。 特定の環境下にあるなら生命を奪っても良いという価値判断は近代の諸原則や医師の職業倫理を大きく変えることになる。必要なのは見て見ぬふりをするのではなく、どのような条件があればそれを私たちは許すのか、という社会的な合意だ。そうでなければ死の辛さは個々人が抱え続けることになるからだ。

コメンテータープロフィール

専門は比較政治、欧州政治。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(学術博士)。日本貿易振興機構(JETRO)パリ・センター、パリ政治学院招聘教授、ニューヨーク大学客員研究員、北海道大学法学研究科教授等を得て現職。フランス国立社会科学高等研究院リサーチ・アソシエイト、シノドス国際社会動向研究所理事。著書に『アフター・リベラル』(講談社現代新書)、『ポピュリズムを考える』(ちくま新書)、『感情の政治学』(講談社メチエ)『ミッテラン社会党の転換』(法政大学出版局)、編著に『ヨーロッパ統合とフランス』(法律文化社)、『現代政治のリーダーシップ』(岩波書店) など。

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