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吉田徹

吉田徹

認証済み

同志社大学政策学部教授

報告

解説ファラージ氏は、イギリスのEU離脱の旗振り役となったUKIP(英独立党)の創始者で、移民問題というよりも、国家主権の維持・保護を訴えてきた政治家でもある。そうした立場からすれば、ロシアの主権を尊重しなかったことに非がある、という立論だろう。 NATO・EUの東方拡大をロシアが好ましく思っていなかったのは事実だろう。ただ戦争の理由を特定するのはいつの時代も難しい。拡大を脅威と感じたのは確かだとしても、それだけがウクライナ攻撃の直接的原因かと言えば、短絡的に過ぎる。さらに、仮にそうだとしても、自国防衛以外、国際法で禁じられている武力行使をしても良いという論理にはならない。 何れにしても、ガザ紛争と同じように、ウクライナ戦争も多くの欧州各国では内政問題となり、政党間での対立となっている。ファラージ氏の発言は、保守党との差異化を狙ったものでもあると考えて方が良い。

コメンテータープロフィール

専門は比較政治、欧州政治。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(学術博士)。日本貿易振興機構(JETRO)パリ・センター、パリ政治学院招聘教授、ニューヨーク大学客員研究員、北海道大学法学研究科教授等を得て現職。フランス国立社会科学高等研究院リサーチ・アソシエイト、シノドス国際社会動向研究所理事。著書に『アフター・リベラル』(講談社現代新書)、『ポピュリズムを考える』(ちくま新書)、『感情の政治学』(講談社メチエ)『ミッテラン社会党の転換』(法政大学出版局)、編著に『ヨーロッパ統合とフランス』(法律文化社)、『現代政治のリーダーシップ』(岩波書店) など。

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