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吉田徹

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同志社大学政策学部教授

報告

補足基本的には各地から賞賛された開会式だが(ニューヨークタイムズ紙は「雨の中のクイアの祭典」、ワシントン・ポスト紙は「人気凋落中の祭典に再び脚光を取り戻した」などと掲げた)、もちろん文化や歴史の過剰にこだわるフランスが議論を巻き起こさないはずがない。断頭されたマリー・アントワネットの姿は王政支持者には不愉快だっただろうし、同性愛賛美はホモフォビアの反感を呼んだだろうし、敬虔な信徒にとってデュオニュソスのシーンは屈辱と映ったかもしれない。 オリンピックが特定の国(実際には都市)がホストとなる限り、そこの「お国柄」が反映されるのは仕方ない。アメリカはハリウッドと資本主義だし、日本はサブカルで押し通した。フランスならば、革命と政教分離、啓蒙がもちろん強調されることになる。特定の歴史観=自国のアイデンティティがどれだけ相対的な普遍性を持つのか、問われるべきはこの点だろう。

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コメンテータープロフィール

専門は比較政治、欧州政治。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(学術博士)。日本貿易振興機構(JETRO)パリ・センター、パリ政治学院招聘教授、ニューヨーク大学客員研究員、北海道大学法学研究科教授等を得て現職。フランス国立社会科学高等研究院リサーチ・アソシエイト、シノドス国際社会動向研究所理事。著書に『アフター・リベラル』(講談社現代新書)、『ポピュリズムを考える』(ちくま新書)、『感情の政治学』(講談社メチエ)『ミッテラン社会党の転換』(法政大学出版局)、編著に『ヨーロッパ統合とフランス』(法律文化社)、『現代政治のリーダーシップ』(岩波書店) など。

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