解説今の欧州にジレンマを端的に指摘している良記事だ。今も昔も、移民は労働力として迎えられてきた(日本においても)。ゆえに成長している間は統合が進むが、低成長になると亀裂が生まれる。イスラム系移民は文化的差異も大きいこともあるが、基本的にはホスト国の豊かさが失われて、統合が進まなくなったことで軋轢になっていると見た方が良い。 豊かで平等な社会が失われると、その責任者探しが始まるとともに、過去に舞い戻ろうとする意識が強くなる。過去のようなあからさまな人種差別的意識ではなく(むしろ社会の寛容度は高まっていることが意識調査からわかる)、むしろ過去に作り上げてきた社会を守りたいという意識が、今の移民に対する忌避意識を強めている。しかし、移民なくしてそうした豊かさも今後は維持できないというのがジレンマの真の正体だ。
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コメンテータープロフィール
専門は比較政治、欧州政治。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(学術博士)。日本貿易振興機構(JETRO)パリ・センター、パリ政治学院招聘教授、ニューヨーク大学客員研究員、北海道大学法学研究科教授等を得て現職。フランス国立社会科学高等研究院リサーチ・アソシエイト、シノドス国際社会動向研究所理事。著書に『アフター・リベラル』(講談社現代新書)、『ポピュリズムを考える』(ちくま新書)、『感情の政治学』(講談社メチエ)『ミッテラン社会党の転換』(法政大学出版局)、編著に『ヨーロッパ統合とフランス』(法律文化社)、『現代政治のリーダーシップ』(岩波書店) など。
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