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鶴岡路人

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慶應義塾大学総合政策学部准教授

報告

補足移民・難民をめぐる議論では、少子化・人口減少による労働力確保という経済的側面も重要だが、欧州における極右台頭に関しては、欧州の文化や伝統が変質することへの懸念や、移民・難民の「制御不能な流入」(=政府の無能さ)といったイメージの要素が大きい。実際、移民・難民の受け入れをゼロにするという声が支持を集めているわけでは必ずしもない。 論争の焦点が政治やアイデンティティの問題になっている以上、経済的必要性や合理性を強調しても残念ながら議論は噛み合わず、対立は終息しない。これは英国のEU離脱問題の教訓でもある。離脱派は主権やアイデンティティの問題を議論していたのに、残留派は離脱による経済的損害を強調し、結局議論が噛み合わないまま、国民投票における離脱派勝利にいたった。

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同じ記事に対する他のコメンテーターコメント

  • 吉田徹

    同志社大学政策学部教授

    解説今の欧州にジレンマを端的に指摘している良記事だ。今も昔も、移民は労働力として迎えられてきた(日本にお…続きを読む

コメンテータープロフィール

鶴岡路人

慶應義塾大学総合政策学部准教授

専門は国際安全保障、現代欧州政治。慶應義塾大学法学部卒。同大学大学院、米ジョージタウン大学大学院で学び、英ロンドン大学キングス・カレッジ戦争研究学部で博士号(PhD)取得。在ベルギー日本大使館専門調査員(NATO担当)を経て、2009年から2017年まで防衛省防衛研究所教官、主任研究官。その間、防衛省防衛政策局国際政策課部員、英王立防衛安全保障研究所(RUSI)訪問研究員等を務める。2017年から現職。著書に『欧州戦争としてのウクライナ侵攻』(新潮選書、2023年)、『EU離脱』(ちくま新書、2020年)等。また、2023年から2024年までオーストラリア国立大学(ANU)訪問研究員。

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