台湾情勢は日本とインド太平洋地域にとって非常に重大な安全保障問題であり、また朝鮮半島情勢と連動する可能性もあるため、自衛隊と台湾軍の「作戦レベル」での連携は不可欠である。しかし、日本と台湾は国交がないため、外交と安全保障の面での連絡と連携が非常に限られていることは事実だ。現時点では外務省、経済産業省、警察庁、海上保安庁の職員や退役した自衛官(将補級)が「民間人」として台北事務所に派遣されており、防衛省の「背広組」職員も派遣する方針が決まった。このため、高度の情報共有や合同訓練・演習、能力構築、防衛駐在官・連絡官の派遣等を行えるようになるまでは、国交や中国の反応の問題だけでなく、多くのテクニカルな問題もあるが、日米台が可能な限り連携し、段階的に協力に向け強化することが重要である。
コメンテータープロフィール
東京大学先端科学技術研究センター特任助教。長野県佐久市出身。専門は防衛政策、安全保障、国際政治、比較政治、交通政策。オーストラリア国立大学アジア研究学部卒、同大大学院戦略防衛研究科修士課程修了(豪)、ニューサウスウェールズ大学大学院キャンベラ校人文社会研究科博士号取得(豪)。パシフィックフォーラム研究フェロー(米)、ムハマディア大学マラン校客員講師(尼)、釜山大学校経済通商大学国際学部客員教授(韓)を経て、2021年8月より現職。主著に『Defense Planning and Readiness of North Korea: Armed to Rule』(Routledge, 2021)。
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