ウーバー(旅客運送も含む)の業務に従事するスタッフは、世界中でその労働者性が問題になっており、欧州では労働者性を肯定する方向の流れがあります。今回の東京都労委の命令は、この流れに沿うものといえます。 もっとも、ウーバーイーツ側は中央労働委員会に再審査の申立をするか、東京地裁に対して命令取消を求める訴訟を提起できるので、まだ、結論は予断を許さないところです。 また、今回認められた「労働者」性は、労働組合法上のものなので、仮に結論が確定した場合、ウーバーイーツはスタッフらの組合の求めに対して団体交渉に応じる義務が生じたり、スタッフ側がストライキを決行する権利が生じます。一方、労働基準法上の労働者性は問題になっていないので、仮に結論が確定しても、残業代請求や有給休暇の申請など、労働基準法上の権利を主張できるわけではありません。
コメンテータープロフィール
1978年生。日本労働弁護団常任幹事、自由法曹団常任幹事、京都脱原発弁護団事務局長。労働者側の労働事件・労災・過労死事件、行政相手の行政事件を手がけています。残業代計算用エクセル「給与第一」開発者。基本はマチ弁なので何でもこなせるゼネラリストを目指しています。著作に『新版 残業代請求の理論と実務』(2021年 旬報社)。
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