見解買収が不成功に終われば、日鉄は経営戦略の柱の一つを失い、厳しい状況に直面します。一方、USスチールも買収されなければ、高コスト体質は改善されず、競争力を失って衰退が加速するでしょう。米国の国益を損なうことにもなると思われます。 米国の強みは外国から資本や人材を受け入れ、イノベーションを起こしてきたことにあります。しかし、今回は選挙イヤーと重なったこともあり、ナショナリズムや懐古主義が高まり、政治の思惑や国民感情が経済の論理を上回ってしまいました。日鉄の買収が不成功となれば、経済面では日鉄、USスチール、米国民のいずれにとっても不幸な結果を招くでしょう。
コメンテータープロフィール
1974年生まれ。99年に株式会社大和総研へ入社。以降、内閣府、SMBC日興証券株式会社でエコノミスト業務に従事。2017年1月より現職。専門はマクロ経済(国内外の景気、財政・金融政策)と金融市場(株式、債券、コモディティ等)
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