見解芸能関連のゴシップ記事を売りに1984年に創刊されたFRIDAYは、1999年の週刊文春のジャニー喜多川の性加害告発記事のキャンペーン以降に時期を区切ったとしても、20年以上にわたってこの問題についてメディアとしての役割を放棄してきました。それで「かつての“芸能界の覇者”は見る影もなく、今や“鼻つまみ者”に成り下がってしまった――」と完全に他人事のような卑しい書き出しで、編集部の外部かつ匿名の記者の発言をつぎはぎして、世論を扇動するこのような記事を作っているわけです。記事内には匿名の女性誌記者(ここは「女性週刊誌記者」と表記すべきでしょう)の「ネット上ではすぐに“不買運動”などが叫ばれがちですので、ジャニーズという名前がつけば“金主”が逃げていく傾向になるでしょう」という発言がありますが、それは社会正義ではなくただのネットポピュリズムです。
コメンテータープロフィール
1970年、東京生まれ。上智大学文学部フランス文学科卒。映画サイト「リアルサウンド映画部」アドバイザー。YouTube「MOVIE DRIVER」。著書「1998年の宇多田ヒカル」(新潮社)、「くるりのこと」(新潮社)、「小沢健二の帰還」(岩波書店)、「日本代表とMr.Children」(ソル・メディア)、「2010s」(新潮社)。最新刊「ハリウッド映画の終焉」(集英社)。