解説仮に本当にフランス軍がウクライナに展開し、ウクライナ軍を支援する状況になれば、ロシアの標的になるのはその通りだろう。ウクライナ派兵を排除しないとした今年2月のマクロン発言以降、ロシアはフランスへの批判と警告を強めている。それだけ気になる、嫌な発言だったということだ。ロシアが気にしていることは否定しようにない。 ただし、現時点でフランスによるウクライナ派兵の現実的可能性はほとんどないのだろう。それでも、「NATO諸国が派兵してもNATOとの全面戦争を恐れてロシアは手が出せないだろう」と思われてしまえば、ロシアの「負け」であり、ロシアは最大限の警告をし続けるほかない。他方、NATOの存在が抑止にならないとすれば、NATOにとっても損失は大きい。抑止をめぐるNATOとロシアの神経戦である。
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コメンテータープロフィール
専門は国際安全保障、現代欧州政治。慶應義塾大学法学部卒。同大学大学院、米ジョージタウン大学大学院で学び、英ロンドン大学キングス・カレッジ戦争研究学部で博士号(PhD)取得。在ベルギー日本大使館専門調査員(NATO担当)を経て、2009年から2017年まで防衛省防衛研究所教官、主任研究官。その間、防衛省防衛政策局国際政策課部員、英王立防衛安全保障研究所(RUSI)訪問研究員等を務める。2017年から現職。著書に『欧州戦争としてのウクライナ侵攻』(新潮選書、2023年)、『EU離脱』(ちくま新書、2020年)等。また、2023年から2024年までオーストラリア国立大学(ANU)訪問研究員。
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