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鶴岡路人

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慶應義塾大学総合政策学部准教授

報告

解説「エネルギーでロシアに依存しているから」というのは、モンゴルがプーチンを逮捕しなかった理由としては本音なのだろう。その意味で驚きはない。しかし、ICC加盟国である以上、その義務に反して逮捕しなかったことの国際法的な説明(弁明)をする必要がある。 その場合の論拠として考えられるのは、①ロシアが ICC加盟国ではないため、慣習国際法上の国家元首への逮捕・拘束の免除がICC規程に優先する(=ICCは否定する考え)、②ロシアとの間に、ICCへの引き渡しに当該国の同意を必要とするなどの事前の国際約束が存在した(=明らかにはなっていない)、などが考えられる。いずれにしても、政治的考慮で逮捕しなかったと説明してしまうと、モンゴルはICC規程違反を自ら認めることになり、政府として得策ではないだろう。

コメンテータープロフィール

鶴岡路人

慶應義塾大学総合政策学部准教授

専門は国際安全保障、現代欧州政治。慶應義塾大学法学部卒。同大学大学院、米ジョージタウン大学大学院で学び、英ロンドン大学キングス・カレッジ戦争研究学部で博士号(PhD)取得。在ベルギー日本大使館専門調査員(NATO担当)を経て、2009年から2017年まで防衛省防衛研究所教官、主任研究官。その間、防衛省防衛政策局国際政策課部員、英王立防衛安全保障研究所(RUSI)訪問研究員等を務める。2017年から現職。著書に『欧州戦争としてのウクライナ侵攻』(新潮選書、2023年)、『EU離脱』(ちくま新書、2020年)等。また、2023年から2024年までオーストラリア国立大学(ANU)訪問研究員。

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